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心房細動患者における脳卒中予防のための直接作用型経口抗凝固薬(DOAC)治療:システマティックレビュー,ネットワークメタ解析,および費用対効果
meta-analysis

DOACはINR 2.0-3.0のwarfarinにくらべ,脳卒中,全死亡,大・頭蓋内出血のリスクが低かった。また,コストは高いものの費用対効果でwarfarinよりも好ましいDOACもあり,増分純便益が最も大きかったのはapixaban 5mg×2回/日,次いでdabigatran 150mg×2回/日,rivaroxaban 20mg/日,edoxaban 60mg/日。
López-López JA, et al. Oral anticoagulants for prevention of stroke in atrial fibrillation: systematic review, network meta-analysis, and cost effectiveness analysis. BMJ. 2017; 359: j5058. PubMed

コメント

心房細動の有病率は高い。複数の新規経口抗凝固薬の価格は高いが,第III相ランダム化比較試験ではINR 2-3を標的としたワルファリン治療に対して有効性は劣らず,安全性は高いとされた。1種の抗トロンビン薬と3種の抗Xa薬の有効性,安全性の差異の有無は不明である。そこで,各種の第II相,第III相ランダム化比較試験の結果をネットワークメタ解析した。
薬剤の臨床開発を目指す第II相,第III相試験は一般に臨床試験の質が高い。追跡率も高く,服薬コンプライアンスも高い。しかし,目的が新薬の認可承認であるため,新薬に有利なバイアスがある場合もある。ワルファリン群の標的INRは2-3あるいは2-4の試験も含まれている。どうしても,ワルファリン群では出血が増える。INR 2以下を標的とする試験が含まれていないinclusion criteriaも日本の医療実態とは異なる。症例を多く集めて,ワルファリンと新薬の比較を多数の切り口で施行している。第III相試験の結果を反映した結果がメタ解析にも現れている。1種の抗トロンビン薬と3種の抗Xa薬の間の有効性,安全性の差異も比較検討している。さらに費用対効果を算出している。ランダム化比較試験のデータを集積し,比較したエンドポイントと異なるエンドポイントと薬剤の効果をネットワークメタ解析した結果に科学的価値があるか否かの判断は難しい。(後藤


目的 直接作用型経口抗凝固薬(DOAC)はwarfarinの問題点を解決し,モニタリングが不要,多剤との交互作用が少ない,効果の発現,消失が早いなどの利点があるが,コストがより高い。2013-’15年に発表されたランダム化比較試験(RCT)のシステマティックレビューでは,DOACは有効性でwarfarinと同等,出血リスクがより低かった。しかし,DOACを直接比較した試験は実施されていないため,心房細動(AF)患者においてどのDOACが推奨第一選択薬かを決めるのは難しい。また,高いコストとDOACによる有効性の改善などのバランスが明らかではなく,さらにRCTではwarfarin群にINR 2.0-3.0を維持できない患者もランダム化されたため,DOAC群の有効性が過大評価された可能性もある。
AF患者において,DOAC 5剤*の有効性,安全性,費用対効果を比較するためにシステマティックレビュー,ネットワークメタ解析を実施した。
評価項目は,有効性(全脳卒中,脳卒中あるいは全身性塞栓症,虚血性脳卒中,出血性脳卒中,心筋梗塞,全死亡),安全性(全出血,小出血,大出血,頭蓋内出血,消化管出血,臨床的に重要な出血)。
*第II因子阻害薬(dabigatran),Xa阻害薬(apixaban, betrixaban, edoxaban, rivaroxaban)
対象 94,656例・23RCT(INR 2.0-3.0のwarfarin群 vs DOAC群13試験[第II相7試験,第III相6試験],第III相16試験[患者の97%])。AF患者において,DOAC,ビタミンK拮抗薬,抗血小板薬の脳卒中予防効果を評価した第II-III相の優越性あるいは非劣性検証のRCT。
除外基準:非経口抗凝固薬の試験,同薬剤の異なる用量比較試験,追跡期間<3ヵ月の結果発表試験,INR≦2・固定用量のwarfarinの試験,経食道心エコー検査で血栓形成性因子を有していない患者のみでの試験。
ENGAGE AF-TIMI 48, ARISTOTLE, RE-LY, ROCKET AF, ACTIVE W, AVERROESなど。
■患者背景:年齢70歳*(平均63.3-81.5歳),男性63.3%*(44.9-82.9%),BMI 28.0kg/m²*(24.4-30.5.kg/m²),既往;脳卒中20.2%*(5.0-63.8%),高血圧73.8%*(38.0-93.7%),慢性心不全32%*(0-100%)。warfarin群のINRが治療域内にあった時間の割合63.8%*(45.1-83.0%)。 *中央値
治療期間:3-30ヵ月。製薬会社がスポンサーの試験15試験。
方法 2010年-’16年8月に登録・発表された研究をMedline, PreMedline, Embase, Cochrane Library,ClinicalTrials.gov,さらにCochrane Library内のNHS(National Health Service) Economic Evaluation DatabaseをNice Technology Appraisalsで検索した。
DOACとの比較対照薬は,治療量のwarfarinあるいはその他のビタミンK拮抗薬(INR 2.0-4.0),aspirin,clopidogrelとした。
AF患者における虚血性脳卒中予防費用対効果最大の第一選択抗凝固薬(推奨用量のみ)をNHSの大局観から評価。有効性に関する明確なエビデンスのないbetrixabanは除外した。AF患者が70歳で第一選択抗凝固薬の投与を開始した場合の生涯総コスト,quality-adjusted life-years(生活の質調整生存年:QALY)を推定した。
結果 [有効性と安全性]
【warfarin群(INR 2.0-3.0)との比較】
・脳卒中,全身性塞栓症
apixaban 5mg×2回/日群:オッズ比0.79;95%信頼区間(CI)0.66-0.94,
dabigatran 150mg×2回/日群:0.65;0.52-0.81,110mg×2回/日群:0.90;0.74-1.10,edoxaban 60mg/日群:0.86;0.74-1.01,30mg/日群:1.13;0.97-1.32,rivaroxaban 20mg/日群:0.88;0.74-1.03,抗血小板薬≧150m/日群:1.61;1.25-2.07,<150mg/日群:1.88;1.40-2.51。
・虚血性脳卒中
apixaban 5mg×2回/日群:0.92;0.74-1.14,dabigatran 150mg×2回/日群:0.76;0.58-0.98,110mg×2回/日群:1.14;0.90-1.44,edoxaban 60mg/日群:1.01;0.84-1.21,30mg/日群:1.44;1.21-1.71,rivaroxaban 20mg/日群:0.93;0.74-1.16,抗血小板薬≧150mg/日群:2.00;1.51-2.67,<150mg/日群:2.52;1.62-3.99。
・心筋梗塞(MI)
apixaban 5mg×2回/日群:0.87;0.66-1.15,dabigatran 150mg×2回/日群:1.29;0.96-1.75,110mg×2回/日群:1.32;0.97-1.79,edoxaban 60mg/日群:0.96;0.75-1.22,30mg/日群:1.22;0.97-1.53,rivaroxaban 20mg/日群:0.80;0.61-1.04,抗血小板薬≧150m/日群:1.38;0.94-2.03,<150mg/日群:1.02;0.64-1.64。
・全死亡
apixaban 5mg×2回/日群:0.88;0.79-0.98,dabigatran 150mg×2回/日群:0.88;0.77-1.01,110mg×2回/日群:0.91;0.80-1.04,edoxaban 60mg/日群:0.91;0.82-1.01,30mg/日群:0.86;0.78-0.96,rivaroxaban 20mg/日群:0.83;0.69-1.00,抗血小板薬≧150m/日群:1.04;0.87-1.25,<150mg/日群:1.08;0.88-1.33。

<安全性>

・大出血
apixaban 5mg×2回/日群:0.71;0.61-0.81,dabigatran 150mg×2回/日群:0.94;0.81-1.08,110mg×2回/日群:0.80;0.69-0.93,edoxaban 60mg/日群:0.78;0.69-0.90,30mg/日群:0.46;0.40-0.54,rivaroxaban 20mg/日群:1.03;0.89-1.18,抗血小板薬≧150m/日群:1.07;0.82-1.42,<150mg/日群:0.75;0.52-1.06。
・頭蓋内出血
apixaban 5mg×2回/日群:0.42;0.30-0.58,dabigatran 150mg×2回/日群:0.40;0.27-0.59,110mg×2回/日群:0.31;0.19-0.47,edoxaban 60mg/日群:0.46;0.33-0.62,30mg/日群:0.31;0.21-0.43,rivaroxaban 20mg/日群:0.65;0.46-0.91,抗血小板薬≧150m/日群:0.39;0.13-0.98,<150mg/日群:0.50;0.21-1.23。
・消化管出血
apixaban 5mg×2回/日群:0.89;0.68-1.15,dabigatran 150mg×2回/日群:1.52;1.20-1.91,110mg×2回/日群:1.11;0.87-1.42,edoxaban 60mg/日群:1.22;1.01-1.49,30mg/日群:0.67;0.53-0.84,rivaroxaban 20mg/日群:1.47;1.20-1.81,抗血小板薬≧150m/日群:1.60;0.70-3.85,<150mg/日群:1.03;0.46-2.35。
・臨床的に重要な出血
apixaban 5mg×2回/日群:0.67;0.60-0.75,dabigatran 150mg×2回/日群:1.56;0.50-5.74,110mg×2回/日群:-,edoxaban 60mg/日群:0.84;0.77-0.90,30mg/日群:0.59;0.54-0.64,rivaroxaban 20mg/日群:1.03;0.95-1.11,抗血小板薬≧150m/日群:-,<150mg/日群:0.59;0.45-0.77。

【第III相試験での推奨用量DOAC群間比較】
・dabigatran 150mg×2回/日群 vs apixaban 5mg×2回/日群
脳卒中,全身性塞栓症:オッズ比0.82;95%CI 0.62-1.08,虚血性脳卒中:0.83;0.59-1.16,MI:1.48;0.98-2.2,全死亡:1.00;0.84-1.19,大出血:1.33;1.09-1.62,頭蓋内出血:0.96;0.58-1.60,消化管出血:1.71;1.21-2.43,臨床的に重要な出血:2.32;0.74-8.63。
・edoxaban 60mg/日群 vs apixaban 5mg×2回/日群
脳卒中,全身性塞栓症:1.09; 0.87-1.39,虚血性脳卒中:1.10;0.83-1.46,MI:1.10;0.76-1.58,全死亡:1.03;0.89-1.20,大出血:1.11;0.92-1.35,頭蓋内出血:1.09;0.69-1.70,消化管出血:1.38;1.00-1.92,臨床的に重要な出血:1.24;1.09-1.42。
・rivaroxaban 20mg/日群 vs apixaban 5mg×2回/日群
脳卒中,全身性塞栓症:1.11; 0.87-1.41,虚血性脳卒中:1.01;0.74-1.38,MI:0.92;0.63-1.34,全死亡:0.94;0.76-1.17,大出血:1.45;1.19-1.78,頭蓋内出血:1.55;0.97-2.49,消化管出血:1.66;1.19-2.33,臨床的に重要な出血:1.53;1.33-1.75。
・edoxaban 60mg/日群 vs dabigatran 150mg×2回/日群
脳卒中,全身性塞栓症:1.33; 1.02-1.75,虚血性脳卒中:1.33;0.97-1.83,MI:0.74;0.50-1.09,全死亡:1.03;0.87-1.22,大出血:0.84;0.69-1.02,頭蓋内出血:1.13;0.69-1.87,消化管出血:0.81;0.60-1.09,臨床的に重要な出血:0.54;0.14-1.68。
・rivaroxaban 20mg/日群 vs dabigatran 150mg×2回/日群
脳卒中,全身性塞栓症:1.35; 1.03-1.78,虚血性脳卒中:1.22;0.87-1.73,心筋梗塞:0.62;0.41-0.93,全死亡:0.94;0.74-1.18,大出血:1.10;0.90-1.34,頭蓋内出血:1.61;0.96-2.72,消化管出血:0.97;0.71-1.33,臨床的に重要な出血:0.66;0.18-2.07。
・rivaroxaban 20mg/日群 vs edoxaban 60mg/日群
脳卒中,全身性塞栓症:1.01; 0.80-1.27,虚血性脳卒中:0.92;0.69-1.23,MI:0.84;0.59-1.20,全死亡:0.91;0.73-1.13,大出血:1.31;1.07-1.59,頭蓋内出血:1.43;0.90-2.26,消化管出血:1.21;0.90-1.60,臨床的に重要な出血:1.23;1.10-1.37。

【費用対効果】
生涯総コストが最も低いのは,dabigatran 150mg×2回/日群(23,064ポンド),次いでapixaban 5mg×2回/日群(23,340ポンド),edoxaban 60mg/日群(23,985ポンド),warfarin群(24,418ポンド),最も高いのがrivaroxaban 20mg/日群(24,841ポンド)。
QALYが最も長いのはapixaban 5mg×2回/日群(5.49年),続いてrivaroxaban 20mg/日群(5.45年),dabigatran 150mg×2回/日群(5.42年),edoxaban 60mg/日群(5.41年),warfarin群(5.17年)。
NHSの1 QALYに対する支払い意思額を20,000ポンド(閾値)と仮定すると,増分純便益が最も大きかったのはapixaban 5mg×2回/日群(7,533ポンド),次いで,dabigatran 150mg×2回/日群(6,365ポンド),rivaroxaban 20mg/日群(5,279ポンド),edoxaban 60mg/日群(5,212ポンド)。

(収載年月2018.02)
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