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心不全患者におけるβ遮断薬による心拍数,リズム(調律)および有効性(Beta-Blockers in Heart Failure Collaborative Group)
pooled analysis

洞調律の収縮性心不全患者において,試験参加前の心拍数に対する治療歴を問わずβ遮断薬により死亡率が低下した。またβ遮断薬により心拍数が減少したものは死亡リスクが低かった。
Kotecha D et al.; Beta-blockers in heart failure collaborative group. Heart rate and rhythm and the benefit of beta-blockers in patients with heart failure. J Am Coll Cardiol. 2017; 69: 2885-96. PubMed

コメント

本研究はHFrEF患者に対するβ遮断薬の臨床試験(11のRCT)のメタ解析であるが,IPDを用いた点に特徴がある。その結果,洞調律患者ではベースラインの心拍数に関係なく,β遮断薬の投与は予後を改善することが確認された。さらに本解析でβ遮断薬の有効性が,心拍数の減少量よりも達成心拍数に関係することが示されたが,β遮断薬の投与量の意義は明確にならなかった。一方,心房細動合併例ではレートコントロールのためβ遮断薬がよく用いられているが,本論文でも示されたように,HFrEFの予後改善効果は期待できないことをよく認識しておく必要がある。しかし,その理由についてはよく解っていない。今後,心房細動時の自律神経活性の変化およびそれに対するβ遮断薬の効果についてさらなる検討が必要である。本論文で,死因の内訳について解析がなかったのは残念であるが,β遮断薬治療の予後を決めるバイオマーカーとして投与後の心拍数が重要であることを明らかにしたことは意義が大きい。(


目的 洞調律の,あるいは心房細動(AF)を合併した駆出率(EF)の低下した収縮性心不全(HFrEF)患者における死亡と心拍数の関係はいまだ明確ではない。
β遮断薬が洞調律のHFrEF患者において合併症,死亡を抑制することが示されているが,そのメカニズムは明らかでなく,β遮断薬の有効性が用量,心拍数低下,達成心拍数と関連するかも確かではない。またβ遮断薬はHFrEF患者における新規AF発症リスクを低下するが,HFrEF(±AF)患者の死亡は予防しないと考えられている。
主要ランダム化比較試験(RCT)の患者個人データ(IPD)を統合して,心不全患者におけるβ遮断薬の包括的な有効性,安全性を評価しているBeta-Blockers in Heart Failure Collaborative Groupのメタ解析で,心調律別に1) ベースライン心拍数は死亡の予測因子か,2) β遮断薬の死亡に対する有効性はベースライン心拍数によって異なるか,3) β遮断薬の用量,達成した心拍数と死亡率は関係するかを検証する。
主要評価項目は全死亡。
対象 17,378例・11*試験。死亡を一次エンドポイントまたは複合エンドポイントの一つとし,β遮断薬とプラセボを比較したRCTで,登録数>300例,予定追跡期間>6ヵ月のもの。心房粗動患者も組入れたが,心ブロックの記録のあるものは除外した。
*MDC, CIBIS, US-HF, ANZ, CIBIS-II, MERIT-HF, COPERNICUS, CAPRICORN, BEST, CHRISTMAS, SENIORS
■患者背景:洞調律14,313例(心拍数;<70拍/分[2,420例], 70-90拍/分[9,128例], >90拍/分[2,765例]), AF 3,065例(427例,1,811例,827例)。
年齢65歳*, 女性24%, 虚血性心不全 : 洞調律例(心拍数<70拍/分群77.4%, 70-90拍/分群70.8%, >90拍/分群54.2%); AF例(60.4%, 56.5%, 48.4%), 心筋梗塞既往 : 68.3%, 60.0%, 43.4% ; 49.3%, 41.4%, 29.5%, EF* : 0.30, 0.27, 0.24 ; 0.28, 0.27, 0.26, 心拍数 : 80拍/分 ; 81拍/分。*中央値
心調律を問わず,心拍数の多いものは,より若年で,女性,非虚血性心筋ミオパチー,重症な症状が多く,EFが低かった。
方法 MEDLINE,Current Contents,参照文献リスト,臨床試験登録サイト,学会抄録,レビュー,ディスカッションを検索した。
>3年追跡した患者が少なかったため,データはランダム化から1,200日(3.3年)で打ち切り,死亡は心拍数を連続変数としたCox比例ハザード回帰モデルでハザード比を算出した。
結果 [ベースライン心拍数と洞調律あるいはAF合併患者の死亡率]
洞調律の患者における平均追跡期間1.5年の死亡は2,141/14,166例(15.1%)。
ベースライン心拍数と全死亡に有意な関連がみられた(10拍/分増加ごとの調整ハザード比[HR]1.11;95%信頼区間1.07-1.15,P<0.0001)。Kaplan-Meier解析で,心拍数が多いと死亡リスクが高くなる関係はβ遮断薬群,プラセボ群いずれでもみられた。
対照的に,AF合併例での死亡は609/3,034例(20.1%)だったが,ベースライン心拍数と死亡に有意な関連はみられなかった(1.03:0.97-1.08,P=0.38)。
心拍数を連続変数としたモデルで死亡のHRをみても,洞調律の場合とは異なりAF患者の場合はベースライン心拍数と死亡に関連はなかった。感度解析も同様の結果だった。

[ベースライン心拍数によるβ遮断薬の有効性]
β遮断薬群では洞調律,AFいずれの患者でも心拍数が11~12拍/分減少し,洞調律患者ではプラセボ群より死亡リスクが有意に低かった(0.73;0.67-0.79,P<0.0001)。これは,ベースラインの心拍数と関連しなかった(<70拍/分例:0.64;0.51-0.80[NNT=21],70-90拍/分例:0.79;0.71-0.89[35],>90拍/分例:0.62;0.52-0.74[15],交互作用P=0.35)。感度解析も同様の結果だった。
一方で,AF患者では,β遮断薬群での死亡抑制はみられず(0.96;0.81~1.12,P=0.58),ベースライン心拍数と関連しなかった(<70拍/分例:0.76;0.51-1.13,70-90拍/分例:1.07;0.87-1.33,>90拍/分例:0.87;0.63-1.19,交互作用P=0.48)。感度解析も同様の結果だった。

[ランダム化後の心拍数と死亡-達成心拍数 vs 心拍数の変化]
ランダム化から平均184日後のランドマーク解析実施例(洞調律:12,441例,AF:2,566例)における心拍数は,解析時と最終時は洞調律,AF患者のいずれでも同様だった。
洞調律患者では解析時における死亡との関連は,達成心拍数(少ないほうが死亡リスクが低い)のほうが心拍数の変化より強かった(10拍/分増加ごとの調整HR:1.16;1.11-1.22)。死亡率が最も低かったのは,β遮断薬治療後に心拍数が減少したものであったが,AF患者では達成心拍数も心拍数の変化も生存率との関係はみられなかった。

[洞調律患者におけるランダム化後のβ遮断薬用量]
β遮断薬群,プラセボ群別のモデルで,ランドマーク解析時の心拍数と死亡の関係は両群とも一貫していた。β遮断群(6,327例)での10拍/分増加ごとの調整HR:1.12;1.05-1.19,用量は心拍数に影響しないプラセボ群(6,114例)での調整HRは1.13;1.08-1.19。
高用量まで使用可能な例のほうが両群で死亡率が低かった。

(収載年月2018.02)
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