AHA2003
REVERSAL
Reversing Atherosclerosis with Aggressive Lipid Lowering

症候性冠動脈疾患患者において,HMG-CoA reductase阻害薬atorvastatinによる強力な脂質低下療法はアテローム性動脈硬化の進展を完全に抑制。
presenter: Steven Nissen, MD(Cleveland Clinic Foundation, US)


目的   冠動脈のアテローム性動脈硬化の進展に及ぼす影響を,HMG-CoA reductase阻害薬atorvastatinによる強力な治療とpravastatinによる比較的マイルドな治療とで比較。一次エンドポイントはアテローム体積の変化率。
一次仮説:atorvastatin 80mg投与はpravastatin 40mgに比べアテローム性動脈硬化の進展を抑制する。
代替仮説:両治療群間に差はない。
   
コメント   動脈硬化予防のためのガイドラインはLDLコレステロール(LDL-C)の目標値が提示されているが,十分な検証がなされていなかった。本試験はアトルバスタチンでLDL-Cを80mg/dL未満にするのと,プラバスタチンで110mg/dLにするのとで,冠動脈アテロームに及ぼす治療効果を検討している。結果的には,強力な治療でLDL-Cを80mg/dL未満にすることで,動脈硬化病変の進展を抑制できることが示された点は,至適LDL-C値を検討したものとして評価でき,今後のガイドラインにも影響を与えるものと思われる。また,プラバスタチン群との差で,CRPの低下の程度がアトルバスタチン群でより大きく,これが動脈硬化進展抑制に有効であったという可能性はある。しかし,両群間でLDL-Cの低下の程度が異なるということを考慮するとその評価は困難と思われる(寺本)。
   
   
デザイン   無作為割付け,二重盲検。
   
期間   追跡期間は18ヶ月。
   
対象患者   502例。症候性冠動脈疾患患者,冠動脈造影上20%以上の狭窄のある患者で,8週間のwashout後のLDL-Cが125〜210mg/dLのもの。
■患者背景:平均年齢56歳,男性70%,糖尿病20%,LDL-C 150mg/dL,トリグリセリド197mg/dL,C-reactive protein(CRP) 3.0mg/dL。
   
治療法   atorvastatin群(253例):80mg,pravastatin群(249例):40mg。
アテローム性動脈硬化の進展は血管内エコー(IVUS)で評価。
   
結果   ランダム化例は654例であったが,152例(大半が追跡IVUSを拒否)が脱落し,追跡IVUS評価例は502例。
LDL-Cはatorvastatin群79mg/dL ,pravastatin群110mg/dLに低下した(p<0.0001)。HDL-Cは43mg/dL vs 45mg/dLでそれぞれ2.9%,5.6%増加(p=0.06),両群間に有意差はなかった。
一次エンドポイントはatorvastatin群で0.4%減少(p=0.98),pravastatin群で2.7%増加(p=0.001)した。これはatorvastatin群はアテロームの進展を抑制したが,pravastatin群では有意に進展したことを示すが,治療群間比較ではatorvastatinが有意にアテローム性動脈硬化の進展を抑制した(p=0.02)。
二次エンドポイントである総アテローム体積はatorvastatin群では変化がなかったが(p=0.72),pravastatin群では約4mm3増加した(p=0.01)。また閉塞率の変化もatorvastatin群は変化がなく(p=0.18),pravastatin群では1.6%進展した(p<0.0001)。二次エンドポイントに関して治療群間比較では,atorvastatin群はpravastatin群よりも有意に抑制した(p=0.0002)。この結果が本試験で最も際立った差であった。
C-reactive protein(CRP)はatorvastatin群で36.4%低下,pravastatin群で5.2%低下した(p<0.0001)。
atorvastatin群では年齢,性別,スタチン薬既往の有無で層別してもどの群でも進展は認められなかった。脂質値およびCRP値で平均値の上下で2群に分けてもatorvastatin群では進展がなく,pravastatin群では進展した。pravastatin群でベースラインのLDL-Cが平均より低い例(pravastatinにより低値に達したものもいた)で進展が認められたことは注目される。
解析予定になかったpost hoc解析:pravastatin群の167例がNCEP(国民教育コレステロールプログラム)推奨値であるLDL-C<100mg/dLに達していたが,アテローム体積および閉塞量が有意に増加した。(各p=0.01,p<0.0001)。
両群とも忍容性は良好で,有害イベントに両群間差はなく,ミオパチはなかった。
   
考察   atorvastatinによる強力な脂質低下療法はアテローム性動脈硬化の進展を完全に抑制し,これはどのサブグループでも同様であった。一方,pravastatinによる比較的マイルドな治療はアテロームが有意に進展した(p値は0.01〜0.0001)。一次エンドポイント,二次エンドポイントにおいて両群間に有意差が認められた(p値は0.02〜0.0002)。atorvastatin群ではアテロームの退縮は全体としては認められなかったが,個々の症例では退縮を示すものが多く,アテローム面積が43%減少したものもあった。治療群間差はベースライン時のLDL-C値が平均より高いか低いかで見られ,pravastatin群のLDL-C<100mg/dL例の67%で有意な進展が認められた。この差はatorvastatin群でのCRP値の大きな低下によるものと考えられる。atorvastatinの積極的治療は,アテローム性動脈硬化の進展を完全に抑制するために必要と考えられる。
   

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収録年月2003.11