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ACC(2015)

 ESC 2009 UP

Photo by Todd Buchanan

第31回欧州心臓病学会(ESC 2009)がバルセロナで開催されました。
採択文献4,085本中,日本からは241本,ドイツ,イタリア,英国,ギリシャ,オランダに次ぐ演題数でした。
ここではHot Lineで発表されたトライアル結果を掲載いたします。

掲載トライアル
[Hot Line I]AAA(無症候性アテローム性動脈硬化が疑われる患者・aspirin)/ CURRENT OASIS 7(PCIを施行するACS・clopidogrel/aspirin)/ PLATO(ACS・ticagrelor)/ RE-LY(脳卒中ハイリスクの非弁膜症性心房細動患者・dabigatran) / SEPIA-ACS1-TIMI 42(非ST上昇型ACS・otamixaban)
[Hot Line II]GRACE(プロテクトされていない左主幹部病変を認めるACS・血行再建術)/ ISAR-TEST-4(rapamycin溶出生分解性ポリマーステント,rapamycin溶出耐久性ポリマーステント,everolimus溶出耐久性ポリマーステント)/ NORDISTEMI(ST上昇型心筋梗塞・PCI施設への救急搬送,地域医療施設での保存的治療+レスキューPCI)/ PRAGUE-7(心原性ショックのためのprimary PCI例・abciximab)/ TRIANA(高齢心筋梗塞・血栓溶解療法,primary PCI)
[Hot Line III]ACTIVE I(心房細動・irbesartan)details/ European CRT Survey(心臓再同期治療)/ German PreSCD II Registry(心筋梗塞後・ICD)/ KYOTO HEART Study(高リスク高血圧・valsartan)/ MADIT-CRT(虚血性/非虚血性心筋症・心室再同期治療,ICD)/ PROTECT(急性心不全・rolofylline)

Hot Line III
Sep. 1


KYOTO HEART Study Add-on Effects of Valsartan on Morbi- Mortality (KYOTO HEART Study)UP
ClinicalTrials.gov No: NCT00149227
高リスク高血圧患者におけるARB追加投与は心血管イベントを有意に抑制
PROBE(prospective, randomized, open, blinded-endpoint),多施設(日本の31施設)3,031例。≧20歳,≧140/90mmHgかつ,下記のうち1つ以上をもつ患者; 2型糖尿病,現在の喫煙,脂質異常症,スクリーニングの6ヵ月以上前における冠動脈疾患または心血管疾患の既往,肥満,左室肥大。除外基準: ランダム化以前におけるARB治療,過去6ヵ月における心不全/心筋梗塞/狭心症/PCIまたはCABG実施,重症/悪性/二次性高血圧,妊娠,治療を要するあるいは症状を伴う狭心症,2度あるいは3度の房室ブロック,重症腎障害(血清クレアチニン>3.0mg/dL),重症肝障害(肝不全,肝硬変)。 患者背景: 年齢(valsartan追加群66±11歳,非ARB群66±11歳),男性(57%,57%),現在の喫煙(22%,22%),BMI≧25kg/m2(39%,39%),冠動脈疾患(23%,23%),脳血管障害(4%,4%),心不全(6%,7%),糖尿病(26%,27%),脂質異常症(70%,71%),左室肥大(8%,9%),収縮期血圧(157±14mmHg,157±14mmHg),拡張期血圧(88±11mmHg,88±11mmHg),心拍数(70±18bpm,70±16bpm),駆出率(63±10%,63±9%),HDL-C(55±15mg/dL,55±15mg/dL),LDL-C(121±31mg/dL,123±31mg/dL),トリグリセリド(147±83mg/dL,150±84mg/dL),空腹時血糖(121±43mg/dL,121±43mg/dL), HbA1c(6.1±2.3%,6.0±1.3%),血清クレアチニン(0.87±0.35mg/dL,0.84±0.38mg/dL), Na(142±2.7mEq/L, 142±2.5mEq/L), K(4.5±2.2mEq/L, 4.3±2.2mEq/L)。服用薬: ACE阻害薬(19%,20%),Ca拮抗薬(54%,55%),α遮断薬(3%,3%),β遮断薬(17%,18%),アルドステロン拮抗薬(2%,2%),サイアザイド系利尿薬(3%,3%),その他の利尿薬(5%,6%),スタチン(32%,33%),フィブラート系薬剤(2%,2%),経口血糖降下薬(14%,13%),抗凝固薬(6%,7%),抗血小板薬(26%,28%)追跡期間中央値3.27年valsartan追加群(1,517例): 80mg/日を4週間投与し,降圧目標(<140/90mmHg,糖尿病または腎疾患合併患者では<130/80mmHg)に達しなければ2倍量に増量し(4週間),それでも降圧不十分な場合はARB/ACE阻害薬を除く降圧療法を追加。非ARB群(1,514例): ARB/ACE阻害薬を除く降圧薬を通常用量(4週間)→高用量に増量(4週間)→ARB/ACE阻害薬を除く降圧療法を追加valsartan追加群の血圧は,ベースライン時157±14/88±11mmHg→試験終了時133±14/76±11mmHg,非ARB群は157±14/88±11mmHg→133±14/76±10mmHg。一次エンドポイント(致死性/非致死性冠動脈イベント[入院などを含む]): valsartan群は非ARB群にくらべ,発生率が有意に低かった(83例[5.5%]vs 155例[10.2%],ハザード比[HR]0.55,95%信頼区間[CI]0.42-0.72,P=0.00001,NNT=21)。一次エンドポイントのうち,両群の有意差が認められたアウトカムは脳卒中(25例 vs 46例,HR 0.55,95%CI 0.34-0.89,P=0.01488,NNT=72)および,狭心症,糖尿病の新規発症だった。→文献情報コメント:桑島 巌)
presenter: Matsubara H, MD ( Kyoto Prefectural University of Medicine, JP )


PROTECT Effects of Rolofylline in Patients with Acute Heart Failure and Renal ImpairmentUP
腎機能障害を合併した急性心不全患者において,選択性アデノシンA1受容体拮抗薬rolofyllineのパイロット試験で示唆されていた腎,死亡,再入院への有効性は認められず。
無作為割付け,プラセボ対照2,033例。18歳以上;利尿薬を投与した14日以上の心不全既往;BNP≧500pg/mLあるいはNT-proBNP≧2000pg/mL;過剰な体液貯留により24時間以上の利尿薬の静注を必要だと思われる急性心不全による入院;腎機能障害(Cockcroft - Gault の式から算出したCrCl 20~80mL/分);収縮期血圧 95~<160mmHg。主な除外基準:重篤な肺疾患;重要な心臓弁膜狭窄症など患者背景:平均年齢70歳,男性67%,体重82kg,収縮期血圧124mmHg,CrCl(rolofylline群49mL/分,プラセボ群50mL/分),クレアチニン(両群とも1.5mg/dL)。既往:高血圧(rolofylline群80%,プラセボ群78%);虚血性心疾患(70%,68%);心房細動/粗動(53%,57%);糖尿病(45%,46%);intermediate seizure risk(11%,10%);2年以上前の脳卒中(両群とも9%)。治療状況:ACE阻害薬あるいはARB(76.3%,74.4%);β遮断薬(76.5%,75.5%);アルドステロン拮抗薬(44.5%,42.4%),digoxin(27.3%,29.6%)rolofylline群(1,356例):30mg/日を静注,プラセボ群(677例)発症からランダム化までの時間は両群とも平均15時間,ランダム化から試験薬静注までの時間(rolofylline群1.4時間,プラセボ群1.5時間),試験薬注入期間(1日:rolofylline群3.2%,プラセボ群2.7%,2日:4.4%,4.3%,3日:90.9%,91.6%,非投与:両群とも1.5%),総静注量(173mL,174mL)。
一次エンドポイント(3種類のエンドポイント:治療の成功(2~3日後[それ以前の退院時]の中程度あるいは顕著な呼吸困難の改善,不成功の症例がないこと),不成功(7日間の死亡あるいは心不全による再入院;>24時間後7日以内(あるいは退院後)の救援治療を要する症状悪化,心不全の徴候,持続性腎機能障害[7日後,14日後のSCr>0.3mg/dLの上昇あるいは7日以内の血液濾過,透析の開始]);患者の変化なし(治療が成功もしないが不成功でもない)は,rolofylline群[プラセボ群](成功40.6%[36.0%];変化なし37.5%[44.2%];不成功21.8%[19.8%])でプラセボ群と比較したオッズ比は0.92(95%信頼区間0.78-1.09)で両群間差は認められなかった(P=0.348)。24・48時間後の呼吸困難の改善はrolofylline群51.2% vs プラセボ群44.5%。二次エンドポイント(持続性腎機能障害,7日以内の死亡)はrolofylline群15.0% vs プラセボ群13.7%:1.11(0.85-1.46)であった(P=0.441)。有害イベント:62.9% vs 61.4%,重篤な有害イベント:13.8% vs 14.7%,死亡:3.7% vs 5.3%,心イベント:7.2% vs 9.0%,seizure:0.8% vs 0%,脳卒中:1.2% vs 0.5%。
presenter: Metra M, MD ( University of Brescia, IT )


ACTIVE I Atrial Fibrillation Clopidogrel Trial with Irbesartan for Prevention of Vascular EventsUP
収縮期血圧≧110mmHgの心房細動患者において,irbesartanはプラセボに比べ心血管イベント発症を抑制しない
初発の脳卒中+心筋梗塞+心血管死の発生率にirbesartan群とプラセボ群に有意差なし。上記のアウトカムに心不全による入院を加えた場合にも有意な群間差は認められず。 →詳細情報コメント:堀 正二,桑島 巌,井上 博)
presenter: Yusuf S, MD ( Mcmaster University, Hamilton Health Sciences, CA )


European CRT (Cardiac Resynchronization Therapy) SurveyUP
欧州における心臓再同期治療の現状
多施設(欧州13ヵ国)2,438例(イタリア571例,スウェーデン321例,ドイツ291例,英国201例,イスラエル195例など)。2008年11月~'09年6月の心臓再同期治療(CRT)成功例でICD併用の有無は問わない追跡期間は1年。

CRT植込み(手技)前の患者背景:年齢中央値70歳(75歳以上;31%),植込み前年の心不全による入院57%,心房細動23%,QRS間隔:平均157ms;<120ms(9%);120~129ms(10%),NYHA:I度(2%);II度(20%);III度(70%),EF 27%,恒久的ペースメーカー(PPM)・ICD植込み例26%,僧帽弁逆流:中等度28%;重症7%手技背景:手技者:電気生理学者76%;インターベンション心臓専門医15%,手技時間100分,透視時間17分,左室リード留置位置:側壁43%;後側壁46%,周術期合併症の発生10%手技後の背景:予約入院82%,CRTプログラミング(AV・VVタイミング最適化)59%,ペーシングQRS間隔133ms,入院中の死亡82%,入院期間は3日。退院時の薬物治療状況:利尿薬88%,ACE阻害薬67%,ARB 24%,β遮断薬84%,アルドステロン受容体拮抗薬46%,スタチン系薬剤56%,抗不整脈薬24%,抗凝固薬45%,抗血小板薬50%デバイス別背景(心臓再同期治療+除細動器:CRT- D[1,694例],除細動機能なし植込み型両心室ペーシング:CRT-P[620例]):年齢(CRT-D群68歳,CRT-P群75歳),≧75歳(21%,52%*),女性(21%,30%*),虚血性心不全(55%,39%*),心房細動(20%,32%*),既往:PPM/ICD(25%,30%;P<0.05);心室細動/持続性心室頻拍(19%,2%*),手技時間(110分,90分*),入院期間(4日,3日*),AV・VVタイミング最適化(65%,41%** P<0.0001年齢別背景(75歳未満[1,663例],75歳以上[742例]):平均年齢(75歳未満群66歳,75歳以上群78歳*),虚血性心不全(48%,57%*),QRS間隔<120ms(10%,5%;P<0.01),NT-proBNP(1381pg/mL,3127 pg/mL*),CRT-D(81%,55%** P<0.0001ランダム化試験(COMPANION,CARE-HF,REVERSE)と比較した場合,ランダム化試験で除外基準であったデバイスの既往,心房細動以外のNYHA心機能,病因,性,QRS幅,EF,薬物治療状況,合併症の発症率は差がなかった。
presenter: Bogale N, MD ( Stavanger University Hospital, NO )


German PreSCD II RegistryUP
心筋梗塞後の左室駆出率低下例(EF≦30%)は少なく(2.5%),4ヵ月以内のICD植込み率は低い(<25%)。ICDの死亡抑制効果が大きいのは発症後>11ヵ月の植込み例。
登録研究,多施設(ドイツの心臓リハビリテーション19施設)追跡例は2,058例:2002年12月~2005年5月,心筋梗塞(MI)から1ヵ月以上経過した10,612例(平均EF;55.5%)をスクリーニング患者背景:平均年齢62歳,男性76%,EF 47%(EF≦30%は269例[2.5%],うち追跡は259例;31~40%は727例[6.9%],うち追跡は693例;>40%は9,616例[90.6%],うち追跡は1,106例),NYHA I~II 度90.7%,心房細動5.2%,糖尿病28.0%,腎機能不全(クレアチニン>2mg/dL)8.1%,BMI>30kg/m2 23.3%,MIからの経過時間:≦8週間(1,465例;71.2%);8週間~1年(320例;15.5%);>1年(273例;13.3%),MI発症時の既往:心停止3.2%,心室細動/頻拍1.7%,失神3.1%,ペースメーカー植込み2.9%。multiple infarctions(多発性梗塞)13.1%,血行再建術90.3%:PCI(74.3%);PCI,CABG(24.7%)追跡期間は3年ICD植込み例は142例(≦4ヵ月の植込み;75例,>4ヵ月;67例):発症から≦8週間例でのICD植込みは5.5%(≦4ヵ月の植込み;2.5%,>4ヵ月;2.9%),8週間~1年例は6.6%(4.1%,2.5%),>1年は15.0%(9.2%,5.9%)。 ICD植込み率:≦4ヵ月のICD[それ以降の植込み](EF≦30%;22.0%[9.7%],EF 31~40%;2.2%[4.9%],EF>40%;0.3%[0.7%])ICD植込み例,非植込み例間に差のあった患者背景:男性(ICD例:85%,非ICD例75%;P=0.045),MIからの経過時間(P<0.001)(≦8週間:ICD例49.3%,非ICD例72.0%,8週間~1年:17.3%,15.5%,>1年:33.3%,12.5%),失神(13.3%,2.7%;P<0.001),多発性梗塞(22.7%,12.8%;P=0.013),EF(P<0.001):<30%(76.0%,10.2%);31~40%(20.0%,34.2%);>40%(4.0%,55.6%),NYHA心機能分類(P<0.001):I~II度(41.3%,39.0%);III~IV度(37.3%,8.3%),QRS間隔>120ms(32.0%,8.1%;P<0.001),非持続性心室頻拍(25.3%,7.7%;P<0.001),腎機能不全(17.3%,7.8%;P=0.003),BMI>30kg/m2 (13.3%,23.7%;P=0.002)一次エンドポイント(全死亡):死亡例は237例(11.5%)で,EF≦30%;20.2%,EF 31~40%;16.4%,EF>40%;4.6%。死亡のハザード比:ICD植込み例(0.56;95%信頼区間0.32-1.01,P=0.053):EF≦30%+ICD例(0.53;0.27-1.07,P=0.075),EF 31~40%+ICD例(0.74;0.27-2.05,P=0.566),MI後1~3ヵ月のICD例(2.10;0.95-4.65,P=0.068),4~11ヵ月のICD例(0.72;0.29~1.78,P=0.469),>11ヵ月のICD例(0.14;0.03-0.56,P=0.006)。
presenter: Voeller H, MD ( Klinik am See, DE )


MADIT-CRT Multicentre Automatic Defibrillator Implantation Trial With Cardiac Resynchronization TherapyUP
ClinicalTrials.gov No: NCT00180271
心室再同期療法は症状が穏やかな心筋症患者においても除細動器植え込み単独より有効
約半数の心不全患者は心室性不整脈で突然死に至る。ESCとACC/AHAは2006年に共同の臨床ガイドラインを発表し,二次予防として植え込み型除細動器(ICD)の使用を推奨した。一方,心室再同期療法(CRT)は,心不全患者の約3分の1を占める,左室駆出率が低下したNHYA III〜IVの重症者で,左室リモデリングの進行を抑制し,障害の進行を抑えることが報告されている。今回のMADIT-CRT試験では,症状のより穏やかな心筋症患者を対象とし,CRTの有用性をICDと比較。
無作為割付け,多施設(110施設)1,820例。虚血性/非虚血性心筋症,左室駆出率(EF)≦30%,QRS≧130ms,NYHA IまたはII度65歳以上(ICD群52%,CRT-D群54%),男性(76%,75%),虚血性心疾患(55%,55%),NYHA II度(85%,86%),QRS≧150ms(65%,64%),LVEF<0.25(53%,53%)。服薬状況: ACE阻害薬(77%,77%),ARB(20%,21%),β遮断薬(93%,93%),利尿薬(73%,76%),スタチン(67%,67%)追跡期間平均29ヵ月CRT-D群(1,089例): 心室再同期療法+除細動器植え込み,ICD群(731例): 除細動器植え込み。一次エンドポイント(全死亡+心不全イベント): CRT-D群はICD群にくらべ有意に低かった(17.2% vs 25.3%,ハザード比[HR]0.66,P=0.001)。心不全発症率もCRT-D群のほうがICD群より有意に低かったが(13.9% vs 22.8%,HR 0.59,P<0.001),全死亡率は有意な群間差は認められなかった(6.8% vs 7.3%,HR 1.00,P=0.99)。一次エンドポイントに関するサブグループ解析では,CRT-Dの有用性は男性よりも女性で高く,また,QRS<150msよりも≧150msで高いことが示され,CRT-D群のICD群に対する全体としての優位性には,性別およびQRSが有意に関連していることが示された。なお,左室拡張終期容積,左室収縮終期容積はCRT-D群のほうがCRT群より有意に減少し,EFは有意に増加した。→文献情報
presenter: Moss AJ, MD ( University of Rochesters Medicine Center, US )


Hot Line II
Aug. 31


NORDISTEMI Norwegian Study on District Treatment of ST-elevation Myocardial InfarctionUP
搬送距離が100-400kmのへき地においても,ST上昇型心筋梗塞患者の救急搬送によるPCIは有効
世界の多くの地域では,ST上昇型心筋梗塞のPCI施行に推奨されている90-120分以内の実施が困難であり,多くの場合,地域医療施設における血栓溶解療法が行われている。現時点では,血栓溶解療法後PCI施設への長距離の救急搬送を行うべきかどうかは明らかでない。本試験では,ノルウェー東南部のへき地において,救急搬送によるPCIと地域医療施設での保存的治療の有用性を比較。
無作為割付け,多施設(ノルウェー)266例。18-75歳,心筋梗塞の症状<6時間,2回の連続した肢誘導におけるST上昇≧1mm以上または2回の連続した前胸部誘導によるST上昇≧2mmまたは新規の左脚ブロック,最初の連絡からPCIまでの時間が90分を超えると予想される,tenecteplaseによる血栓溶解療法を受けている。除外基準: 血栓溶解療法の禁忌,重症腎不全(クレアチニン>250mmol/L),心原性ショック,余命12ヵ月未満の疾患合併,妊娠,アルコール依存症,薬物乱用,精神遅滞,認知症,精神疾患,コンプライアンス維持の難しいその他の状況患者背景: 年齢(早期搬送群60±9.0歳,地域医療施設群60±9.8歳),男性(80%,71%),高血圧治療中(25%,38%,P=0.03),喫煙(79%,79%),糖尿病(6%,8%),総コレステロール(5.2±1.1mmol/L,5.4±1.1mmol/L),心筋梗塞既往(11%,11%),血栓溶解療法前の血圧(133.4±22.9/80.7±15.2mmHg,134.2±22.4/82.0±15.9mmHg),広範前壁梗塞(44%,39%),症状発生から血栓溶解薬服用までの時間(117分[80-195分],126分[80-195分])追跡期間1年早期搬送群(134例): PCI施設へ速やかに搬送。地域医療施設群(132例): 地域医療施設にて治療,必要であればrescue PCIのため搬送。無作為割付け前に,全例にaspirin 300g,tenecteplase,enoxaparin 30mg静注+1mg/kg皮下投与,clopidogrel 300g投与を実施ランダム化後の侵襲的治療: 血管造影(早期搬送群99%,地域医療施設群95%),tenecteplase投与(ランダム化前)からカテーテル室到着まで時間(130分[105-155分],5.5日[0-17.5日],tenecteplase投与(ランダム化前)から初回のバルーンまでの時間(163分[137-191分],3.0日[0-13日]),PCI施設への搬送距離(早期搬送群158km[129-200km]),ステント留置(86%,68%),abciximab投与(14%,6%),CABG実施(7%,12%)。一次エンドポイント(12ヵ月後までの死亡+再梗塞+脳卒中+新規虚血)発生率に,早期搬送群と地域医療施設群に有意差は認められなかった(20.9% vs 27.3%,ハザード比[HR]0.72,95%信頼区間[CI]0.44-1.18,P=0.18)。二次エンドポイント: 12ヵ月後までの死亡+再梗塞+脳卒中の発生率は,早期搬送群のほうが地域医療施設群より有意に少なかった(6.0% vs 15.9%,HR 0.36,95%CI 0.16-0.81,P=0.01)。30日後までの出血(GUSTO分類)には両群に有意差なし(16% vs 14%,P=0.68)。輸送に関する合併症は,早期搬送群では死亡1例(0.7%),心室細動4例(3.0%),地域医療施設群では心室頻拍2例(1.5%)がみられた。→文献情報
presenter: Halvosen S, MD, PhD ( Hjertemedisinsk avdeling, Ullevål universitetssykehus, NO )


GRACE Global Registry of Acute Coronary EventsUP
左主幹部病変に対する血行再建術は,高リスク患者にはPCI,低リスク患者にはCABGが行われている傾向 — CABG施行者の退院6ヵ月後の生存率は良好
登録研究,多施設(14ヵ国,106施設)2000-2007年にGRACE研究に登録した急性冠症候群患者43,018例のうちプロテクトされていない左主幹部病変を認める1,799例。過去にCABG,もしくはCABGとPCIを実施した症例は除外。登録後のPCI単独施行例は514例,CABG単独施行例は612例,血行再建術非施行例は673例。患者背景: >75歳(36%,26%,40%,P<0.001),心筋梗塞既往(25%,26%,28%,P=0.68),心不全既往(6.1%,7.6%,13%,P=0.35),最近の大手術/外傷(10%,4.8%,4.0%,P<0.001),aspirin服用(34%,44%,41%,P=0.002),チエノピリジン系薬剤服用(7.8%,5.1%,8.2%,P=0.08),ACE阻害薬服用(24%,28%,35%,P=0.17),スタチン服用(23%,30%,31%,P=0.01),新たなST上昇/左脚ブロック(57%,23%,29%,P<0.001),ST低下(45%,36%,47%,P=0.01),Q波(23%,18%,17%,P=0.04),心停止/心原性ショック(5.1%,1.7%,3.7%,P=0.003),病変が左主幹部のみ(8.0%,5.2%,5.6%,P=0.07)。8年間の推移をみると,PCI施行は増加,CABG施行は低下した(傾向P<0.001。GRACEリスクスコア(年齢,心停止,Killip分類,ST逸脱,クレアチニン濃度,心臓マーカー,心拍数,収縮期血圧で規定)は,PCI群,CABG群ともに8年間で大きな変動はなく,一貫してGABG群のほうが低かった。入院中の死亡は,PCI群は血行再建術非施行群よりも有意に高かったが(ハザード比[HR]2.60,95%信頼区間[CI]1.62-4.18),CABG群と血行再建術非施行群とでは有意差は認められなかった(HR 1.26,95%CI 0.72-2.22)。また,退院後6ヵ月後の生存率は,PCI群は血行再建術非施行群より有意に低く(HR 0.45,95%CI 0.23-0.85),CABG群は血行再建術非施行群より有意に低かった(HR 0.11,95%CI 0.04-0.28)。GABG群の退院6ヵ月後までの脳卒中累積発症率は,他の2群の5倍に達した。→文献情報
presenter: Montalescot G, MD, PhD ( Institut de Cardiologie, FR )


TRIANA Traramiento del Infarto Agudo de Miocardio en AncianosUP
ClinicalTrials.gov No: NCT00257309
75歳以上の高齢者に対するprimary PCIの短・中期予後は血栓溶解療法を凌げず
無作為割付け,多施設(スペインの23施設),intention-to-treat解析266例。≧75歳,ST上昇型心筋梗塞/左脚ブロック<6時間,血栓溶解療法への適応。除外基準: 血栓溶解薬の禁忌,心原性ショック,病院到着からPCI開始までの時間>120分,ランダム化前14日間における血栓溶解薬の服用,ランダム化前24時間におけるGP IIa/IIIb阻害薬の服用,ランダム化前8時間における低分子量ヘパリンの服用,最近の経口抗凝固薬の服用,過去のPCI治療部位の閉塞を原因とする心筋梗塞の疑い,認知症/急性の錯乱状態,腎不全(クレアチニン>2.5mg/dL),余命12ヵ月未満,ランダム化前30日間における他の臨床試験への参加患者背景: 平均年齢(血栓溶解薬群81.2±4.6歳,primary PCI群81.0±4.3歳),男性(56.1%,56.7%),高血圧(59.1%,67.9%),脂質異常症(27.3%,41.8%[P=0.013]),糖尿病(34.1%,26.1%),喫煙(15.2%,11.2%),心筋梗塞既往(7.6%,9%),安定狭心症既往(13.6%,10.4%),PCI既往(3.8%,5.2%),慢性心不全既往(0.8%,1.5%),末梢動脈障害(9.1%,10.4%),ランダム化までの時間(180分,180分),入院時血圧(132±23/74±13mmHg,136±25/75±16mmHg),入院時心拍数(73±18bpm,76±18pbm),Killip分類(I/ II/ III: 82/15/3,84/11/3),anterior location(49%,42%),クレアチニン(1.13±0.34mg/dL,1.09±0.36mg/dL),血糖値(176±75mg/dL,167±81mg/dL),ヘモグロビン(13.7±1.9g/dL,13.8±1.6g/dL)追跡期間1年血栓溶解薬群(134例): tenecteplaseを単回体重調節ボーラス投与し,未分画ヘパリン(60U/kg[最大4000U]をボーラス投与後,活性化部分トロンボプラスチン時間×1.5〜2となるように注入[最大1000U/時間])とともに抗凝固薬をボーラス投与し,clopidogrel 75mg/日を28日間投与。primary PCI群(132例): 未分画ヘパリン(60U/kg[最大4000U]),abciximab(主治医の判断で),clopidogrel 300mgのローディングドーズ+75mg/日の維持投与とPCIを実施。一次エンドポイント(30日後における死亡+再梗塞+障害を残す脳卒中)の累積発生率には,primary PCI群(18.9%)と血栓溶解薬群(25.4%)に有意差は認められず(オッズ比[OR]1.46,95%信頼区間[CI]0.81-2.61,P=0.21)。また,二次エンドポイント(1年後における死亡+再梗塞+障害を残す脳卒中)の累積発生率にもprimary PCI群(27.3%)と血栓溶解薬群(32.1%)で有意差なし(OR 1.26,95%CI 0.74-2.14,P=0.31)。なお,大出血に有意な群間差はなく,腎不全率発症にも有意差はなかった。
presenter: Bueno H, MD, PhD ( Servicio de Cardiología. Hospital General Universitario Gregorio Marañón, ES )


PRAGUE-7 Routine Upfront Abciximab Versus Standard Peri-Procedural Therapy in Patients Undergoing Percutaneous Coronary Intervention for Cardiogenic Shock: PRAGUE-7 TrialUP
ClinicalTrials.gov No: NCT00420030
心原性ショックを伴う急性心筋梗塞患者において,PCI前のabciximab前投与の有用性は示されず
心原性ショックを伴う急性心筋梗塞患者の予後はきわめて不良であり,早期の血行再建術は内科的治療よりも優れているものの,死亡率は高い。本研究グループは,PCI施行中におけるGP IIb/IIIa阻害薬投与が有用であることを過去に報告しており,今回の試験では,abciximabの前投与が標準治療に比べ転帰を改善するかを検討。
無作為割付け,オープン,多施設80例。進行性急性心筋梗塞(ST上昇/低下/脚ブロック),緊急の冠動脈造影(PCI)を予定,心原性ショックの症候あり。除外基準: abciximabの禁忌,重篤な弁膜症,心筋梗塞の器質的合併症,非心臓性のショック,入院前のヘパリン(>10,000 IU)投与患者背景: 平均年齢66歳,心肺蘇生実施患者は25%,機械的人工換気実施患者は46%追跡期間30日abciximab前投与群(40例): 術前のabciximabの前投与をルーチンで実施後,abciximabを12時間注入。標準療法群(40例): 標準療法に加え,主治医の判断によりabciximab注入も許可)PCIはabciximab前投与群の90%,標準療法群の87.5%で成功。abciximabはabciximab前投与群の100%,標準療法群の35%で用いられた。一次エンドポイント(30日後における死亡+再梗塞+脳卒中+新規の腎不全)発生率にabciximab前投与群と標準療法群の有意差なし(17例[42.5%]vs 11例[27.5%],P=0.24)。入院中の死亡(15例[37.5%]vs 13例[32.5%],P=0.82),脳卒中(2.5% vs 5%)にも有意差は認められなかった。二次エンドポイントである30日後における生存者の左室駆出率(44±11% vs 41±12%,P=0.205),大出血(17.5% vs 7.5%,P=0.310),PCI後のTIMI-flowおよび心筋blushグレードにも有意差はみられなかった。
presenter: Widimsky P,MD, PhD ( Cardiocenter Vinohardy, CZ )


ISAR-TEST-4 Intracoronary Stenting and Angiographic Results: Test Efficacy of 3 Limus-Eluting Stentes-4UP
ClinicalTrials.gov No: NCT00598676
薬剤溶出生分解性ポリマーステント*の薬剤溶出耐久性ポリマーステントに対する非劣性が示される
*これまで臨床で用いられてきた耐久性ポリマーステントとは異なり,生体内で分解・吸収される生分解性ポリマーをコーティングしたステント。耐久性ポリマーステントで体内に残留するポリマー片は動脈壁の炎症を引き起こし,治癒を遅らせことが知られている。過去に行われたISAR-TEST-3試験とLEADERS試験では,生分解性ポリマーステントが6〜9ヵ月後の予後に好ましい成果をあげたことが報告されている。
無作為割付け,非劣性試験2,603例。虚血症状を示す患者または心筋梗塞患者で,冠動脈における50%以上の狭窄が初めて認められた患者。除外基準: <18歳,心原性ショック,主病変が左主幹部に存在,余命1年未満の悪性腫瘍,治療で用いる物質へのアレルギー,妊娠患者背景: 平均年齢(BP-DES群66.7±10.7歳,PP-DES群66.8±11.1歳),男性(75%,77%),高血圧(69%,68%),糖尿病(29%,29%),喫煙(16%,17%),バイパス術の既往(10%,10%),心筋梗塞の既往(29%,29%),脂質異常症(67%,65%),臨床症状: 心筋梗塞(13%,11%),不安定狭心症(29%,29%),安定狭心症(58%,60%),多枝病変(87%,86%),多枝病変へのPCI(29%,26%),左室駆出率(53.1±11.9%,53.6±11.3%)追跡期間1年BP-DES群(1,299例): rapamycin溶出生分解性ポリマーステント,PP-DES群(1,304例): rapamycin溶出耐久性ポリマーステントまたはeverolimus溶出耐久性ポリマーステント一次エンドポイント(心臓死+治療血管が関与する心筋梗塞+治療病変の血行再建術)の1年後の発生率は,BP-DES群13.8%,PP-DES群14.4%であり,BP-DESのPP-DESに対する非劣性が認められた(非劣性P=0.005)。全死亡(4.7% vs 4.8%,P=0.90),ステント留置後の内腔縮小(0.24mm vs 0.26mm,P=0.49),ステント留置後の狭窄あり(11.6% vs 11.8%,P=0.85)はいずれも有意な群間差なし。1年後のステント血栓症(1.0% vs 1.5%,リスク比0.68,95%信頼区間0.34-1.38,P=0.29)にも有意差は認められなかった。→文献情報
presenter: Mehilli J, MD ( Deutsches Herzzentrum, DE )


Hot Line I
Aug. 30


AAA Aspirin for Asymptomatic AtherosclerosisUP
ABIにて無症候性アテローム性動脈硬化が疑われる患者においてaspirinの心血管イベント一次予防効果は認められず
足関節上腕血圧比(ABI)とは,上腕の収縮期血圧と足関節の収縮期血圧の比。アテローム性動脈硬化の指標として用いられ,ABI低値は心血管イベントの独立した予測因子であることが,複数のコホート研究で報告されている。本試験は,aspirinの心血管イベント一次予防効果をABI低値の一般住民で検討した,最初の試み。
無作為割付け,プラセボ対照,二重盲検,intention-to-treat解析3,350例。心血管疾患既往のないABI≦0.95の50-75歳。患者背景: 平均年齢(aspirin群62.2±6.7歳,プラセボ群61.7±6.6歳),男性(29%,28%),deprivation(most/intermediate/least: 49%/15%/36%,49%/15%/36%),ABI(0.86±0.09,0.86±0.09),血圧(148±22/84±11mmHg,147±22/84±11mmHg),血清総コレステロール(6.2±1.1mmol/L,6.2±1.1mmol/L),糖尿病(3%,3%),喫煙(33%,32%)平均追跡期間8.2年,登録期間は1998-2001年aspirin群(1,675例,100mgを1日1回投与),プラセボ群(1,675例)一次エンドポイント(致死性/非致死性の冠動脈イベント+脳卒中+血行再建術)発生率は,aspirin群とプラセボ群に有意差なし(10.8% vs 10.5%,ハザード比[HR]1.03,95%信頼区間[CI]0.84-1.27)。二次エンドポイント(狭心症や間欠性跛行,一過性脳虚血発作を含む全血管イベント)発生率にも有意差なし(HR 1.00,95%CI 0.85-1.17)。全死亡率も両群で同程度だった(10.5%,11.1%)。なお,大出血の発生率には有意差はないものの,aspirin群のほうが高かった(2.0% vs 1.2%,HR 1.71,95%CI 0.99-2.97)。→文献情報
presenter: Fowkes G ( University of Edinburgh, UK )


CURRENT OASIS 7 Clopidogrel Optimal Loading Dose Usage to Reduce Recurrent Events/Optimal Antiplatelet Strategy for InterventionsUP
ClinicalTrials.gov No: NCT00335452
高用量clopidogrelの心血管イベント予防効果は通常用量clopidogrelを上回らず,大出血はわずかに増加。PCI施行例では高用量での有効性が認められる
現在までに,PCI施行中のclopidogrel 300mgのローディングドーズ→75mg/日の維持投与が主要心血管イベント抑制に有効であることが報告されている。本試験ではこの通常用量および2倍用量のclopidogrelの有効性と安全性について,aspirinの2用量(300-325mg/日,75-100mg/日)を組み合わせた2×2 factorialデザインにて検討。
無作為割付け,2×2 factorial25,087例。24時間以内にPCI予定の急性冠症候群患者追跡期間30日clopidogrel 2倍用量群: 600mgのローディングドーズ→150mg/日を7日間→75mg/日。clopidogrel通常用量群: 300mgのローディングドーズ→75mg/日。aspirin高用量群: 300-325mg/日。aspirin低用量群: 75-100mg/日。 aspirin高用量群とaspirin低用量群の比較: 一次エンドポイント: 30日後における心血管死+心筋梗塞+脳卒中,およびステント血栓症に有意差なし。大出血の発生率にも有意差なし。 clopidogrel 2倍用量群とclopidogrel標準用量群の比較: 一次エンドポイント: 30日後における心血管死+心筋梗塞+脳卒中の発生率は,2倍用量群と標準用量群に有意差はなかったが(4.2%vs 4.4%,ハザード比[HR]0.95,95%信頼区間[CI]0.84-1.07,P=0.370),PCI施行例のサブグループでは,2倍用量群は標準用量群にくらべ有意に低く(3.9%vs 4.5%,HR 0.85,95%CI 0.74-0.99,P=0.036),非施行例のサブグループでは有意差が得られなかった(4.9%vs 4.2%,HR 1.17,95%CI 0.95-1.44,P=0.14)。PCI施行の有無は,上記エンドポイントの結果に有意に影響した(P=0.016)。ステント血栓症発症率は,2倍用量群は標準用量群にくらべ有意に低かった(HR 0.58,95%CI 0.42-0.79,P=0.001)。 安全性のエンドポイント: TIMI分類の大出血に有意な群間差なし。ただし,本試験で定義された大出血(重篤な出血かつ,障害をもたらす/眼内/2-3 unitsの輸血を要する出血)は2倍用量群のほうが有意に多く(2.5%vs 2.0%,HR 1.25,95%CI 1.05-1.47,P=0.01),また,本試験で定義された重篤な出血(致死性の大出血など)も2倍用量群のほうが有意に多かった(1.9%vs 1.5%,HR1.23,95%CI 1.02-1.49,P=0.03)。ただし,致死性出血,脳出血のそれぞれでは有意な群間差なし。PCI施行例のサブグループでは,2倍用量群は標準用量群にくらべ,本試験で定義された大出血(1.6%vs 1.1%,HR1.44,95%CI 1.11-1.86,P=0.006),本試験で定義された重篤な出血(1.1%vs 0.8%,HR 1.39,95%CI 1.02-1.90,P=0.034)が有意に多かった。 clopidogrel用量×aspirin用量: 心血管死+心筋梗塞+脳卒中発生率は,aspirin高用量群のうちclopidogrel 2倍投与患者は標準用量投与患者よりも有意に低いが,aspirin低用量群では両者の有意差が得られず,aspirin用量はclopidogrel用量による有効性の差に有意に影響した(P=0.043)。また,大出血の発生率は,aspirin低用量群のうちclopidogrel 2倍投与患者は標準投与患者よりも有意に高く,aspirin低用量群では両者の有意差が得られなかったが,aspirin用量はclopidogrel用量による安全性の差に有意な影響をもたらさなかった(P=0.099)。なお,ステント血栓症予防効果は,clopidogrel 2倍用量×aspirin高用量群がもっとも優れていた。
presenter: Mehta SR, MD ( Hamilton Health Sciences, CA )


PLATO Platelet Inhibition and Patient OutcomesUP
ClinicalTrials.gov No: NCT00391872
急性冠症候群患者でticagrelor*がclopidogrelより心血管イベントを抑制,大出血リスクの上昇は認めなかった
*新規抗血小板薬である,可逆的P2Y12受容体拮抗薬。clopidogrelと同様にP2Y12に拮抗するが,体内での代謝を要さない直接的拮抗薬であり,その拮抗作用はプロドラッグであるclopidogrelより一貫している。ticagrelorの用量決定試験では,ticagrelor 90mg,180mgの1日2回投与の出血リスクは,clopidogrel 75mg/日と有意差がないことが示されている。
無作為割付け,二重盲検,多施設(43ヵ国862施設: 日本は参加していない),intention-to-treat解析18,624例。中等〜高リスク非ST上昇型急性冠症候群(ACS)またはPCI施行予定のST上昇型心筋梗塞患者背景: 年齢中央値(ticagrelor群62.0歳,clopidogrel群62.0歳),女性(28.4%,28.3%),喫煙(36.0%,35.7%),高血圧(65.8%,65.1%),脂質異常症(46.6%,46.7%),糖尿病(24.9%,25.1%),心筋梗塞既往(20.4%,20.7%),PCI施行(13.6%,13.1%),CABG施行(5.7%,6.2%),ST上昇型心筋梗塞(37.5%,38.0%),非ST上昇型心筋梗塞(42.9%,42.5%),トロポニンI陽性(79.5%,80.8%)追跡期間は1年ticagrelor群では180mgのローディングドーズ実施後,90mg×2回/日の継続投与(PCI施行前には90mg追加)。clopidogrel群では,ランダム化前にclopidogrelが投与されていなかった場合は300mgのローディングドーズ後75mg/日を継続投与(PCI施行前にはローディングドーズ300mgの追加を許可),ランダム化前にclopidogrelが投与されていた場合は,clopidogrel 75mg/日を継続投与一次エンドポイント(血管死+心筋梗塞+脳卒中発生までの時間): 1年後までの累積発生率は,ticagrelor群(9.8%)はclopidogrel群(11.7%)にくらべ有意に低かった(ハザード比[HR]0.84,95%信頼区間[CI]0.77-0.92,P<0.001)。安全性の一次エンドポイント(大出血): 1年後までの累積発生率に有意な群間差なし(11.6% vs 11.2%,HR1.04,95%CI 0.95-1.13,P=0.43)。なお,TIMI分類における大出血発生率,致死性あるいは生命を脅かす出血,CABGに関連する大出血や輸血を要する出血にも有意な群間差はなかった。ただし,CABGに関連しない大出血発生率はticagrelor群のほうが有意に高かった(4.5% vs 3.8%,P=0.03)。二次エンドポイント: 全死亡+心筋梗塞+脳卒中(10.2% vs 12.3%,P<0.001),血管死+心筋梗塞+脳卒中+重篤な再虚血+再虚血+一過性脳虚血発作+その他の動脈血栓イベント(14.6% vs 16.7%,P<0.001),心筋梗塞発症率(5.8% vs 6.9%,P=0.005),血管死(4.0% vs 5.1%,P=0.001),全死亡(4.5% vs 5.9%,P<0.001)のいずれもticagrelor群はclopidogrel群より有意に低かった。脳卒中発症率は虚血性,出血性ともに有意な群間差なし。有害イベント: ticagrelor群でもっとも頻度の高かった有害イベントは呼吸困難であり,clopidogrel群にくらべ有意に多かった(13.8% vs 7.8%,P<0.001)。呼吸困難による試験薬投与中止もticagrelor群はclopidogrel群より有意に多かった(0.9% vs 0.1%,P<0.001)。→文献情報コメント:後藤信哉)
presenter: Wallentin L, MD, PhD ( Uppsala Clinical Research Centre, University Hospital, SE )


RE-LY Randomized Evaluation of Long-Term Anticoagulation TherapyUP
ClinicalTrials.gov No: NCT00262600
脳卒中高リスクの心房細動患者においてdabigatran*のwarfarinに対する非劣性と安全性が認められる
*トロンビンに直接拮抗する経口薬で,凝固反応を抑制する新規抗凝固薬。効果の発現が速く,中止により速やかに効果が消失。投与量 - 効果反応が安定しているためモニタリングが不要。食物との相互作用もない。パイロットスタディではdabigatranの静脈血栓塞栓症予防に対する有効性と安全性が示されている。
試験はプラセボ効果を完全には否定できないPROBE(prospective, randomized, open, blinded-endpoint)で施行された。多施設(日本を含む44ヵ国,951施設)18,113例。脳卒中リスクの高い非弁膜症性心房細動(AF)患者患者背景:平均年齢(dabigatran 110mg群71.4±8.6歳,dabigatran 150mg群71.5±8.8歳,warfarin群71.6±8.6歳),男性(64.3%,63.2%,63.3%),CHADS2スコア(2.1±1.1,2.2±1.2,2.1±1.1),脳卒中あるいは一過性脳虚血発作既往(19.9%,20.3%,19.8%),心筋梗塞既往(16.8%,16.9%,16.1%),心不全(32.2%,31.8%,31.9%),aspirin服用(40.0%,38.7%,40.6%),warfarin未服用(49.9%,49.8%,51.4%)追跡期間中央値は2年dabigatran 110mg群(110mgを1日2回投与;6,015例),dabigatran 150mg群(150mgを1日2回投与;6,076例),warfarin群(INR2-3を維持;6,022例)一次エンドポイント:脳卒中あるいは全身性塞栓症の発生率について,dabigatran 110mg群(1.53%/年),150mg群(1.11%/年)のいずれも,warfarin群(1.69%/年)に対する非劣性(すなわち,dabigatranはwarfarinに有効性が劣らないということ)が認められた(非劣性P<0.001)。またdabigatran 150mg群はwarfarin群にくらべ有意に抑制(相対リスク[RR]0.66,95%信頼区間[CI]0.53-0.82,P<0.001)。ただし110mg群とwarfarin群には有意差なし(RR0.91,95%CI 0.74-1.11,P=0.34)。脳蓋内出血発生率は,dabigatran 110mg群,150mg群のいずれも,warfarin群より有意に少なかった。warfarin群0.38%/年に対し,dabigatran 110mg群では0.12%/年(RR0.31,95%CI 0.17-0.56,P<0.001),150mg群では0.10%/年(RR0.26,95%CI 0.14-0.49,P<0.001)。重大な出血発生率は,dabigatran 110mg群(2.71%/年)はwarfarin群(3.36%/年)にくらべ有意に少なかった(RR 0.80,95%CI 0.69-0.93,P=0.003)。ただし150mg群(3.11%/年)とwarfarin群には有意差なし(RR 0.93,95%CI,0.81-1.07,P=0.31)。生命を脅かす出血,脳内出血,大・小出血はいずれも,dabigatran 150mg群(1.45%,0.30%,16.42%),110mg群(1.22%,0.23%,14.62%)はwarfarin群(1.80%,0.74%,18.15%)にくらべ有意に少なかった。消化管出血については,dabigatran 150mg群はwarfarin群より有意に多かった。→文献情報コメント:井上 博,後藤信哉)
presenter: Connolly SJ, MD ( Mcmaster University, Hamilton Health Sciences, CA )


SEPIA-ACS1-TIMI 42 Study Program to Evaluate the Prevention of Ischemia with direct Anti-Xa inhibition in Acute Coronary Syndromes 1—Thrombolysis in Myocardial Infarction 42UP
ClinicalTrials.gov No: NCT00317395
otamixaban*の用量決定試験が終了,0.105-0.140mg/kg/時間が今後の第III相試験の候補に――未分画ヘパリン+eptifibatideにくらべ心血管イベントを抑制させる可能性
*血液凝固カスケードの最下流でトロンビンを生成する,第Xa因子を阻害する新規抗凝固薬。これまで,非ST上昇型急性冠症候群(ACS)患者に対する抗凝固療法の核とされてきた未分画ヘパリンは,(1)凝固因子への作用が間接的で非選択的,(2)凝固後のトロンビンは抑制しない,(3)ヘパリン誘因性血小板減少症のリスクがある,(4)薬理学的に予測不明な作用をもつなど,課題が多かった。今回のSEPIA-ACS1-TIMI 42試験で検討するotamixabanは,直接的かつ選択的に第Xa因子を抑制する。半減期は30分であり,薬理学的作用が予測可能なため血液凝固モニタリングを要さない。本試験では,将来の第III相試験にむけ,高リスク非ST上昇型ACS患者を対象に,5種の用量のotamixabanの有効性と安全性を未分画ヘパリン+eptifibatideと比較。
無作為割付け,二重盲検,多施設(36ヵ国196施設),第II相,intention-to-treat解析3,241例。発症後24時間以内の非ST上昇型ACS患者患者背景: 平均年齢61歳,女性31%追跡期間6ヵ月otamixaban 0.035群(125例),0.070群(676例),0.105群(662例),0.140群(658例),0.175群(671例): 0.08mg/kgボーラス投与後,0.035-0.175mg/kg/時間を注入。未分画ヘパリン+eptifibatide群(449例): 未分画ヘパリン(60 IU/kgを静脈内ボーラス投与後,12 IU/kg/時間)+eptifibatide(180μg/kgを静脈内ボーラス投与後,1.0-2.0μg/kg/分)を注入。すべての群で3日以内に冠動脈造影を行い,必要に応じてPCIを実施。 データモニタリング委員会からの指示によりotamixaban最低用量群(0.035群)への登録は早期に中止された。有効性の一次エンドポイント(7日後の死亡+心筋梗塞+緊急の血行再建術+GP IIa/IIIB阻害薬による救済)は,未分画ヘパリン+eptifibatide群6.2%に対し,otamixaban 0.035群(7.2%,相対リスク[RR]1.16,95%信頼区間[CI]0.56-2.38),0.070群(4.6%,RR 0.74,95%CI 0.45-1.21),0.105群(3.8%,RR 0.61,95%CI 0.36-1.02),0.140群(3.6%,RR 0.58,95%CI 0.34-1.00),0.175群(4.3%,RR 0.69,95%CI 0.42-1.15)のいずれも,有意な効果は得られなかった。otamixaban 5群の発生率の傾向に有意差なし(傾向のP=0.34)。ただし,死亡+心筋梗塞の発生率は,0.105群と0.140群を統合すると未分画ヘパリン+eptifibatide群より有意に少なかった(RR 0.54,95%CI 0.32-0.91)。安全性の一次エンドポイント(TIMI分類の大出血+CABGに関連しない小出血)の発生率は,0.035群1.6%(RR 0.61,95%CI 0.14-2.70),0.070群1.6%(RR 0.61,95%CI 0.27-1.38),0.105群3.1%(RR 1.15,95% 0.57-2.32),0.140群3.4%(RR 1.26,95%CI 0.63-2.52),0.175群5.4%(RR 2.02,95%CI 1.06-3.85),未分画ヘパリン+eptifibatide群2.7%。以上をまとめると,大出血リスクを上昇させずに死亡+心筋梗塞発発生率を抑制したotamixaban 0.105mg/kg/時間と0.140mg/kg/時間は,今後の第III相試験で用いる用量として適していることが示唆された。→文献情報
presenter: Sabatine M, MD ( Brigham and Women’s Hospital, US )


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