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 AHA 2010
AHA 2010 シカゴ
photographer Todd Buchanan

13日からシカゴで開催されていた米国心臓協会学術集会(AHA 2010)が幕を閉じました。
ここではAHA2010で発表されたLate-Breaking Clinical Trials (LBCT) から,『循環器トライアルデータベース』の編集委員と抗血栓療法のエキスパートでもある後藤信哉先生が選ばれたトライアル(第1弾),残りのトライアル(第2弾)を掲載いたします。

掲載トライアル
[LBCT I]RAFT (軽症-中等症心不全・ICD+CRT) Comment(井上 博)/ ADVANCE (心移植待機中例・左室補助デバイス) / EMPHASIS-HF(軽症-中等症心不全・eplerenone)Comment(堀 正二) / ASCEND-HF(急性非代償性心不全・nesiritide)
[LBCT II]ROCKET AF(心房細動・ rivaroxaban)Comment後藤信哉堀 正二) / SMART AV(心臓再同期治療・AVディレイ)Comment(井上 博) / Fish Oil for AF(症候性心房細動・オメガ3脂肪酸エチルエステル) / CLOSURE I(卵円孔開存の脳卒中例・心房中隔欠損閉鎖デバイス)
[LBCT III]GRAVITAS(DES植込み例・clopidogrel) / TAMARIS(血行再建術不適応の重症下肢虚血・遺伝子治療)Comment(堀 正二) / BASKET PROVE(大血管・第1-2世代DES,BMS)Comment(中野明彦) / ACT(造影剤腎症高リスク・acetylcysteine)
[LBCT IV]ASCOT(atorvastatin・CRP) / DEFINE(CAD・anacetrapib) / ASSERT(CAD・HDL-C上昇経口薬) / Symplicity HTN-2(治療抵抗性高血圧・腎除神経)

Nov. 17
Late-Breaking Clinical Trials IV

ASCOT
Anglo-Scandinavian Cardiac Outcomes Trial
従来のリスクモデルにCRPを加えても心血管イベントリスク層別の改善は小さい。
背景・目的 スタチン系薬剤によるC反応性蛋白(CRP)の低下は心血管転帰を独立して予測することが示されている。
ASCOT試験*のデータを使用してスタチン投与前後のCRPと心血管イベントの関連を探索する。
* 高血圧患者において,Ca拮抗薬amlodipineをベースとする降圧療法(ACE阻害薬perindoprilを併用)とβ遮断薬atenololをベースとする降圧療法(サイアザイド系利尿薬bendroflumethiazideを併用)の冠動脈疾患(CAD)一次予防を検討したASCOT-BPLA試験,その後,総コレステロール≦250mg/dL例でatorvastatinとプラセボとを比較したASCOT-LLA試験から成る。
デザイン nested case control study。
対象 5.5年の追跡で心血管イベント*を発生した485例(CAD 355例,脳卒中130例)を症例群,性,年齢のマッチした1,367例を対照群とした(うちASCOT-LLA試験からは症例群235例,対照群777例を組入れた)。 * 致死的CAD,非致死的心筋梗塞,血行再建術,致死的・非致死的脳卒中。
平均年齢(症例群64.80歳,対照群64.65歳),喫煙率(26.2%,21.7%;P=0.04),糖尿病(30.9%,26.0%;P=0.038),収縮期血圧(SBP)(164.61mmHg,161.70mmHg;P=0.002),LDL-C(151.6mg/dL,146.6mg/dL;P=0.02),HDL-C(48.7mg/dL,50.3mg/dL;P=0.02),loge CRP(1.13mg/L,0.95mg/L;P=0.0006),loge glucose(1.82mmol/L,1.78mmol/L;P=0.03),クレアチニン(102.34mmol/L,99.23mmol/L;P=0.0008)。atorvastatin投与(ASCOT-LLA群101/235例[43.0%],407/777例[52.4%];P=0.01)。
結果 [ベースライン時CRPの心血管イベント予測能]
・ベースライン時のCRP値は心血管イベントリスクを予測:対数変換CRP値 1 SD上昇ごとの調整後オッズ比(OR)は1.19(P=0.006),CRP値第3三分位群(>4.09mg/L)vs 第1三分位群(<1.74mg/L)の調整後ORは1.35(P=0.05)。
・従来のリスクモデルにベースライン時CRPを加えても,リスク予測能の改善は小さい:モデル2(modified Framingham risk model),モデル3(フルモデル)へのCRPの追加によるROC曲線下面積の変化は,モデル2で0.592→0.600(P=0.20),モデル3で0.620→0.627(P=0.18),integrated discrimination improvement(IDI)はそれぞれ0.38%増(P=0.015),0.49%増(P=0.013)。
・atorvastatinの心血管イベント抑制効果にベースライン時CRPとの関連はみられず:調整後ORは,第1三分位群0.60(95%信頼区間0.33-1.10),第2三分位群(1.74-4.09mg/L)0.77(0.41-1.46),第3三分位群0.94(0.51-1.78),スタチン治療とCRPの交互作用P=0.54。

[6ヵ月後のLDL-CおよびCRPの心血管イベント予測能]
・6ヵ月間の治療によりatorvastatin群ではLDL-Cが40.3%低下(中央値137.3→81.2mg/dL),CRPは27.4%低下(2.52→1.83mg/L)。
・6ヵ月後のLDL-Cは心血管イベントを有意に予測:低値例(<81mg/dL)vs 高値例(≧81mg/dL)の調整後ORは0.41(P=0.004)。
・6ヵ月後のCRPは心血管イベントと関連せず:低値例(<1.83mg/L) vs 高値例(≧1.83mg/L)の調整後ORは0.86(P=0.60)。
・6ヵ月後のLDL-CにCRPを加えても心血管イベントリスク予測能に変化なし。

presenter: Peter S Sever, FRCP ( Imperial College London, UK )
UP
DEFINE 
Determining the EFficacy and Tolerability of CETP INhibition with AnacEtrapid
スタチン治療中の冠動脈疾患患者において,コレステロールエステル転送蛋白(CETP)阻害薬アナセトラピブ(anacetrapib)はHDL-C,LDL-Cを大きく改善し,血圧,アルドステロン,電解質を悪化させなかった。
1,623例(平均年齢63歳,CAD既往54.7%,CAD高リスク45.3%)。anacetrapib 100mg/日 vs プラセボ。 →文献情報

● REVEAL(TIMI 55)試験開始:atorvastatinを投与している閉塞性動脈疾患患者3万例(北米,欧州,アジア)において,anacetrapib 100mgの4年後のハードエンドポイント(CAD死,MI,血行再建術)抑制効果をプラセボと比較するランダム化試験。

presenter: Christopher P Cannon, MD ( Brigham and Women’s Hospital, US )
UP
ASSERT
Apo A1 Synthesis Stimulation Evaluation in Patients Requiring Treatment for Coronary Artery Disease
スタチン治療中の安定冠動脈疾患患者において,アポリポ蛋白A-1 (ApoA-1) 合成を誘発しHDL-Cを上昇させる新規経口薬RVX-208により用量依存的に有意にApoA-1が上昇したが,プラセボとの間には有意差はなかった。
背景・目的 LDL-Cが十分に低下しても残存心血管リスクを有する患者は少なくない。
HDL-Cを上昇させる試みが多くなされているが有効な方法はまだ確立していない。HDL-Cを上昇させる方法としてHDLの機能促進があり,前臨床データながらHDL-Cの構成蛋白であるApoA-1の合成を促進させることの有効性が示唆されている。
新規経口薬RVX-208はApoA-1合成を誘発する経口薬でHDL機能を改善し,コレステロール逆転送系を亢進させることが期待される。また付随する抗炎症作用,内皮機能改善作用も期待される。
スタチンを投与している安定冠動脈疾患患者において,3用量のRVX-208短期投与の有効性,安全性,忍容性を検証する。

[一次エンドポイント] ApoA-1値の変化

デザイン ランダム化,プラセボ対照,二重盲検,多施設(アメリカの35施設)。
対象 299例■患者背景:平均年齢65.8歳,男性75.3%,白人93.3%,BMI 30.7kg/m²,高血圧87.6%,糖尿病29.4%,喫煙者17.1%。脂質値:総コレステロール150mg/dL;LDL-C 76mg/dL;HDL-C 44mg/dL;トリグリセライド115mg/dL;ApoB 76mg/dL;ApoA-1 141mg/dL,hsCRP 1.8mg/L。
期間 追跡期間は4週間。
治療 RVX-208 50mg×2回/日群(76例),100mg×2回/日群(75例),150mg×2回/日群(74例),プラセボ群(74例)。治療期間は12週間。
結果 [一次エンドポイント:ApoA-1の変化率(中央値)]
RVX-208群で用量依存的に増加(P=0.035 for trend; vs プラセボ群):100mg/日群;+0.1%,200mg日/群;+3.8%,300mg/日群;+5.6%(P=0.06),プラセボ群+0.9%。

[その他]
HDL-C(二次エンドポイント):RVX-208群で用量依存的に増加(P=0.02 for trend:+3.2%,+6.3%[P<0.05],+8.3%[P<0.01])。
大型HDL:RVX-208群で用量依存的に増加(P=0.003 for trend:+11.1%,+20.2%[P<0.01],21.1%[P<0.001])。
α1 HDL粒子:+3.7%,+8.0%(P<0.05),+8.8%(P<0.05)。

[安全性]
腎機能,肝機能にRVX-208群とプラセボ群間に有意差はなかったが,ALT/AST>標準上限値の3倍(100mg/日群3例,200mg/日群8例,300mg/日群7例 vs プラセボ群0例;P=0.009),クレアチニン>ベースライン時の1.5倍(0例,3例,3例 vs 0例;P=0.07)であった。

presenter: Nicholls SJ, Ph.D ( Cleveland Clinic, US )
UP
Symplicity HTN-2 
Renal Sympathetic Denervation in Patients with Treatment-resistant Hypertension
治療抵抗性高血圧患者において腎除神経により降圧なる。 文献[Lancet 2010 Online版]
背景・目的
図
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腎交感神経の活性化は本態性高血圧発症の鍵である。
治療抵抗性高血圧患者において,腎神経を不活性化させるカテーテル治療(腎除神経)による降圧の有効性,安全性を検証するヒトにおける初のランダム化試験。

[一次エンドポイント] 6ヵ月後の外来収縮期血圧(SBP)。

デザイン ランダム化,多施設(欧州,オーストラリア,ニュージーランドの24施設)。
対象 106例。18-65歳の3種類以上の降圧薬投与例で外来SBP≧160mmHg(2型糖尿病の場合≧150mmHg),両側の主腎動脈長>20mm・血管径>4mm。
除外基準:重複腎動脈(renal artery duplication),腎動脈狭窄,推算糸球体濾過量(eGFR)<45mL/分/1.73m²など。

■患者背景:平均年齢58歳,SBP 178mmHg,女性(35%,50%),2型糖尿病(40%,28%),eGFR(77 mL/分/1.73m²,86 mL/分/1.73m²;P=0.013),高コレステロール血症(両群とも52%)。
降圧薬服薬数(5.2剤,5.3剤),>5年服薬(71%,78%),≧5剤服薬(67%,57%)。・降圧薬:ACE阻害薬/ARB(96%,94%),直接レニン阻害薬(15%,19%),β遮断薬(83%,69%),Ca拮抗薬(79%,83%),利尿薬(89%,91%):アルドステロン受容体拮抗薬(両群とも17%),血管拡張薬(15%,17%),α1アドレナリン受容体拮抗薬(33%,19%),中枢性交感神経抑制薬(両群とも52%)。

期間 追跡期間は6ヵ月。
登録期間は2009年6月-2010年1月。
治療 腎除神経群(52例):降圧治療+大腿動脈から挿入したカテーテルでARDIAN社のデバイス(Symplicity® Catheter System™)を腎動脈に誘導しラジオ波で腎除神経(2分間の治療を4~6回)。
対照群(54例):降圧薬治療を継続。
両群ともベースライン時の降圧薬の用量変更は不可。
結果 [一次エンドポイント:外来SBP]
腎除神経群:ベースライン時178/97mmHg→6ヵ月後-32/-12mmHg vs 対照群:178/ 98mmHg→+1/0mmHg;両群間差33/11mmHg(P<0.0001)。
・達成SBP<140mmHg:39% vs 6%,140~159mmHg:43% vs 18%,≧160mmHg:19% vs 76%。
・腎除神経群でSBP≧10mmHg降圧した例は84%。

[家庭血圧,24時間自由行動下血圧(ABPM)]
家庭血圧:-20/-12mmHg vs +2/0mmHg(P<0.0001)。
ABPM:-11(P=0.014)/-7(P=0.006)mmHg vs -3/-1mmHg。

[安全性]
手技,デバイス関連の有害イベントは,マイナーな非急性腎動脈傷害のみで,重大な合併症はみられなかった。 6ヵ月後のラジオ波による異常は認められず,腎機能も保たれていた。

[その他]
アメリカで同様のランダム化試験が進行中である。

presenter: Murray Esler, MD ( Baker IDI Heart and Diabetes Institute, Australia )
UP

Nov. 16
Late-Breaking Clinical Trials III

GRAVITAS 
Gauging Responsiveness with A VerifyNow Assay-Impact on Thrombosis and Safety
薬剤溶出性ステント植込み後の残存血小板反応性の高い症例におけるクロピドグレル(clopidogrel)高用量投与の心血管イベント抑制効果は標準用量と変わらない。
背景・目的 PCI施行例におけるclopidogrelの有効性は認められているが,抗凝固治療にもかかわらず残存血小板反応性が高い症例がある。血小板機能検査VerifyNow P2Y12によるclopidogrelの残存血小板反応性の高い症例は, PCI後の主要心血管イベント高リスクであることを示す研究があるが,ランダム化試験での検討はまだない。
選択的,緊急PCI施行例において,血小板機能検査で残存血小板反応性の高い症例を選別し,clopidogrel高用量と標準用量の心血管イベント抑制効果を比較する。

[一次エンドポイント] 6ヵ月後の心血管死,心筋梗塞(MI),ステント血栓症の複合エンドポイント。

デザイン ランダム化,プラセボ対照,盲検,多施設(米国,カナダの83施設)。
対象 2,214例*。安定/不安定冠動脈疾患(プロトコール変更でST上昇型MIも可とした)で薬剤溶出性ステント(DES)植込み例。除外基準:血小板機能検査前の出血イベント例,あるいは重大な合併症発症例,最近GP IIb/IIIa受容体拮抗薬を投与したもの。
* スクリーニングしたPCI例(5,429例)のうち残存血小板反応性の高い例は2,214例(41%),高くなかった3,215例のうち586例を二次解析(標準治療)に組み入れた。

■患者背景:平均年齢64歳,女性35%,PCI適応疾患:安定狭心症,虚血60%;不安定狭心症,非ST低下24%;非ST上昇型ACS 15%(うち心生化学マーカー陽性10%),MI(高用量群30%,標準量群29%),PCI(50%,45%),クレアチニンクリアランス(CrCl)<60mL/分(40%,42%),プロトンポンプ阻害薬(PPI)30%。ステント背景:ステント数/患者(1.7,1.6),総ステント長(30mm,29mm)。

期間 追跡期間は6ヵ月。
治療 薬剤溶出性ステント植込みから12-24時間後に血小板機能検査(VerifyNow P2Y12アッセイ)を実施し,血小板反応性が高い(P2Y12 reaction unit[PRU] ≧230)症例をランダム化。
clopidogrel高用量群(1,109例):600mgローディング後,150mg/日維持投与を6ヵ月。
clopidogrel標準量群(1,105例):600mgローディングは行わず,75mg/日維持投与を6ヵ月。
全例,aspirin 81-162mg/日を投与。
結果 周術期のclopidogrel投与:600mgローディング歴がなかったものは53%,75mg/日>7日投与は高用量群39%,標準量群37%,ローディング投与+75mg/日<7日投与は8%,10%。
PRU(中央値)は高用量群282(255-320),標準量群283(255-321)。
30日後も血小板反応性が高かったのは,高用量群40% vs 標準量群62%(P<0.001)。

[一次エンドポイント]
2.3% vs 2.3%:ハザード比1.01;95%信頼区間0.58-1.76(P=0.98)。

[出血イベント]
GUSTO出血基準の中等度-重度の出血:1.4% vs 2.3%(P=0.10),全GUSTO基準出血:12.1% vs 10.3%(P=0.18)。

[二次解析:ベースライン時の血小板反応性が高い例 vs 低い例]
PRU:高い例283,低い例151(P<0.001)。その他,血小板反応性が低い例は高い例に比べ,年齢,女性,糖尿病,BMI,CrCl<60mL/分,PPI使用率が有意に低かった。clopidogrel標準量群での一次エンドポイントリスクは血小板反応性が高い例で高かったが有意ではなかった(2.3% vs 1.4%: 1.68; 0.76-3.72,P=0.20)。

presenter: Matthew J Price, MD ( Scripps Clinic, US )
UP
TAMARIS 
NV1FGF Gene Therapy on Amputation-Free Survival in Critical Limb Ischemia – Phase 3 Randomized Double-Blind Placebo-Controlled Trial
Circulation. 2010; 122: 2218
血行再建術不適応の皮膚病変を有する重症下肢虚血患者において,血管新生を促進する遺伝子治療薬NV1FGFによる1年後の下肢大切断および死亡抑制効果は認められず。
背景・目的 皮膚病変を有する重症下肢虚血(CLI)患者は下肢切断や死亡に至る場合が多い。非ウイルス性DNAプラスミドNV1FGF(riferminogene pecaplasmid)*を用いた局所遺伝子治療は,血行再建術不適応の虚血性潰瘍を有するCLI患者125例における第II相試験で,下肢切断,死亡ともに抑制するという有望な結果を示した。この結果をうけて,同様の患者を対象に,遺伝子治療薬NV1FGFの下肢大切断または死亡予防効果を検証する第III相試験を実施した。

[一次エンドポイント] 治療肢の大切断,全死亡の複合エンドポイント。
* 血管新生を促進するヒト線維芽細胞増殖因子(fibroblast growth factor-1:FGF-1)をコードする遺伝子を組み込んだ非ウイルス性DNAプラスミド。重症下肢虚血患者の下肢に注入すると,FGF-1の局所発現を誘導し,新しい血管の形成が促進されることにより下肢の血流が改善する。

コメント 重症虚血肢症例に対する遺伝子治療はこれまでも多くの臨床試験(VEGF, FGF, Del-1, HGFなど)がなされているが,第III相試験での好成績は報告されていない。非ウイルス性DNAプラスミドにFGF 遺伝子を封入したNV1FGF遺伝子治療は,第II相試験(TALISMAN試験)で良好な成績が得られていたので今回の第III相試験が期待されていた。第II相試験と同じプロトコールで実施されたが症例数を増やした今回の第III相試験では対照群より若干劣る結果になり優越性は示せなかった。第III相試験の成績はtype I error によるものと考えられ,このような臨床試験では大規模試験が必要であることが改めて確認された。一般に遺伝子治療は,薬物投与と異なり用量設定が困難なことも不成功の一因と考えられる(コメント:堀 正二)。
デザイン ランダム化,プラセボ対照,二重盲検,多施設(30ヵ国170施設)。
対象 525例。50歳以上,血行再建術不適応の皮膚病変(潰瘍または壊疽)を有するCLI患者。平均年齢70歳,男性70%,糖尿病53%。
期間 追跡期間は1年。
治療 NV1FGF群(266例):4mg(0.2mg/mL注射液2.5mLを治療肢の8ヵ所に筋注)を2週間ごとに1回,計4回投与。
プラセボ群(259例)。
結果 [一次エンドポイント]
有意な両群間差なし:NV1FGF群96例(37.07%) vs プラセボ群86例(33.20%):ハザード比1.11;95%信頼区間0.83-1.49(P=0.48)。
大切断:67例(25.87%)vs 55例(21.24%):1.20;0.84-1.72。
死亡:46例(17.76%)vs 39例(15.06%):1.15;0.75-1.76。
糖尿病の有無によるサブグループ解析でも結果は変わらなかった。

[有害事象]
虚血性心疾患10.2% vs 10.1%,腎機能障害7.5% vs 5.8%,網膜障害4.1% vs 5.8%で,いずれも両群間に有意差は認められなかった。

presenter: William R Hiatt, MD ( Univ. of Colorado School of medicine, CA )
UP
BASKET PROVE
血管径の大きい病変への薬剤溶出性ステント [第1・2世代] 植込みから2年後の有害心イベントリスクの増大は認められず:sirolimus・everolimus溶出ステント vs ベアメタルステント。
sirolimus溶出ステント(775例),everolimus溶出ステント(774例),ベアメタルステント(765例) →文献情報 (コメント:中野明彦)
presenter: Matthias E Pfisterer, MD ( Univ Hosp, Switzerland )
UP
ACT 
Acetylcysteine for the Prevention of Contrast-induced Nephropathy
造影剤腎症高リスク患者において,抗酸化作用を有するアセチルシステインによる腎保護効果は認められず。
背景・目的 冠動脈造影(CAG)による腎症(contrast induced nephropathy: CIN)は,死亡,入院期間延長につながる。特に,糖尿病,70歳以上,心不全,心筋梗塞(MI),慢性腎不全患者はCINの高リスク(発症率9~38%)である。CIN予防対策の一つとして抗酸化作用を有する安全,安価で投与のしやすいアセチルシステインがある。
CIN高リスク患者において,アセチルシステインによる腎イベント抑制効果を検討した。

[一次エンドポイント] CIN(CAG後48-96時間の血清クレアチニン≧25%上昇)。

デザイン ランダム化,プラセボ対照,二重盲検,多施設(ブラジルの46施設),intention-to-treat解析。
対象 2,308例。次の項目のうち1つ以上が該当するCAG施行例:70歳以上;慢性腎不全;糖尿病;EF<0.45;MI

■患者背景:平均年齢68歳,女性(アセチルシステイン群38.0%,プラセボ群39.3%),登録基準:慢性腎不全(クレアチニン>1.5mg/dL)(15.4%,16.0%);糖尿病(61.2%,59.7%);心不全(9.9%,9.2%);MI(30.1%,28.5%),糸球体濾過量(60.2mL/分/1.73m²,61.4mL/分/1.73m²)。

期間 追跡期間は30日。
登録期間は2008年9月-2010年7月。
治療 アセチルシステイン群(1,712例):CAGの前後に1,200mg×2回/日を経口投与。
プラセボ群(1,136例)。
結果 CAG前ハイドレーション:NaCl 0.9%-mL/kg/時≧6時間(47.1%,47.5%),スキームにかかわらないNaCl 0.9%(両群とも94.3%),重炭酸塩(5.1%,4.6%)。 CAG後ハイドレーション:NaCl 0.9%-mL/kg/時≧6時間(52.3%,54.8 %),スキームにかかわらないNaCl 0.9%(71.2%,74.1%),重炭酸塩(28.8%,28.5%)。

[一次エンドポイント]
アセチルシステイン群12.7% vs プラセボ群12.7%:相対リスク1.00;95%信頼区間0.81-1.25(P=0.97)。

[その他]
クレアチニン≧0.5mg/dLの上昇:3.9% vs 3.8%:相対リスク1.04;0.69-1.57(P=0.85)。
クレアチニン値倍化*:1.1% vs 1.5%:0.74;0.36-1.52(P=0.41)。
30日後の転帰:死亡,透析の必要(2.2% vs 2.3%:0.97;0.57-1.66,P=0.91),総死亡*(2.0% vs 2.1%:0.93;0.53-1.64,P=0.80),透析の必要*(0.3% vs 0.3%;0.97:0.20-4.80,P=0.97),心血管死*(1.5% vs 1.6%:0.97;0.51-1.85,P=0.93)。
有害事象:89例(7.6%)vs 80例(7.0%);P=0.61,多かったのは狭心症(2.1% vs 1.1%),疲労感(1.6% vs 1.1%),アセチルシステイン群で有意に少なかったのは嘔吐(0.3% vs 1.2%,P=0.01)。脳卒中,肺炎,敗血症,急性水浮腫などの重篤な有害イベントは1.3% vs 2.2%。
* 二次エンドポイント

presenter: Otavio Berwanger, MD ( Sao Paulo Cardiac Hosp, Brazil )
UP

Nov. 15
Late-Breaking Clinical Trials II

ROCKET AF 
Rivaroxaban Once-daily oral direct factor Xa inhibition Compared with vitamin K antagonism for prevention of stroke and Embolism Trial in Atrial Fibrillation
非弁膜症性心房細動患者において,新規抗凝固薬である経口直接作用型第Xa因子阻害薬リバーロキサバン(rivaroxaban)の脳卒中および非中枢神経系全身性塞栓症予防効果はwarfarinと同等。
背景・目的 warfarinは非弁膜症性心房細動(AF)患者の脳卒中予防に有効だが,頻繁な凝固モニタリングと用量の調節が必要である。新しい経口直接作用型第Xa因子阻害薬rivaroxabanは,モニタリングが不要でwarfarinに代わる薬剤として期待されている。
非弁膜症性AF患者において,rivaroxabanとwarfarinの脳卒中および非中枢神経系全身性塞栓症の予防効果を比較する。

[有効性の一次エンドポイント] 脳卒中,非中枢神経系全身塞栓症の複合エンドポイント。
[安全性の一次エンドポイント] 大出血,臨床的に重大な非大出血。

コメント コメント:後藤信哉

長らく期待された経口抗Xa薬の心房細動症例の脳,全身血栓塞栓症予防試験の結果がlate break sectionにて発表された。これだけ大きな発表でありながら学会発表と同時に論文公表がなされなかったことは誠に残念であった。すなわち,学会スライドは公表されているためスライドの内容についての評価はできるが,論文発表されていないと詳細が分からない。臨床試験の解釈は極めて難しいので詳細な論文が同時公表されていないと内容について踏み込んで解説することができない。ここで自分なりの解釈を記載するが,解釈が後日の論文と照らして誤っている可能性があることをご容赦頂きたい。

本試験では,rivaroxabanとwarfarinの脳血栓,全身血栓の発症予防効果が同等であるとの仮説が検証された。45ヶ国が参加した大規模臨床試験であり,登録症例のバックグラウンドには大きなばらつきがあると推論される。脳卒中の既往を有する症例が約半数を占めることから分かるように,極めてリスクの高い症例が登録対象となった。簡単に言えば,「登録症例の約半数が,本邦で言えば脳外科,神経内科などの脳卒中専門医が治療のリーダーシップを握る症例であった」。リスクの高い症例を対象としたためか,試験からの早期離脱症例は25%近い。いわゆる脱落率の高い(追跡はされているが)試験である。

本試験の結果に対する解釈を記載するのは気が重い。なぜなら,本試験では臨床試験においてもっとも重要な試験結果が十分に開示されていないためである。臨床試験の解析対象は,「医師が治療の対象と考えた」症例である。予め規定された全観察期間の一次エンドポイントを比較することになる。このような解析集団をintention-to-treat (ITT)集団という。「治療の対象と考え」登録された症例であっても,実際には様々な理由により当初考えた治療がなされない場合がある。試験の計画書に記載された薬剤を実際に使用された症例の集団はプロトコール通りの治療がなされた集団ということでon treatment集団という。臨床試験の評価はITT集団について行われるべきである。本試験ではITT集団の結果とon treatment解析の結果が異なるように見える。ワルファリンは投薬開始直後が不安定であるため,ribaroxaban群の中止例のワルファリン再開時のイベントなどが多いのではないかと心配になる。

ワルファリン投与群における大出血が年間3%を越えるということはDabigatranの試験RE-LYと同様である。INR 2-3のワルファリン治療が各国のガイドラインにて推奨されているが,果たして年間3%以上の重篤な大出血という副作用の起こる介入を治療と呼べるか否かという疑問を投げかけた点では本試験はRE-LY試験と同様であった。頭蓋内出血がワルファリン群にて0.7%/年ということもRE-LY試験と同様である。INR 2-3というワルファリン推奨は誤っている,ということをRE-LY試験同様本試験も示したことになる。もともと副作用を膨らませた対照群に対して,新薬の副作用が少ないと主張しても臨床的なインパクトは小さい。

有効性(抗血栓効果)がすなわち安全性(出血)と関連する抗血栓薬は患者集団に対するランダム化比較試験の結果を実臨床に直結することが困難である。個別化医療の必要性をRE-LY同様に示した試験であったということが今の時点でできるコメントであろうか?

コメント:堀 正二

rivaroxaban(リバーロキサバン)(Xa因子阻害薬)は先行のdabigatran(ダビガトラン)(直接トロンビン阻害薬)と類似の抗凝固薬であるが,今回の臨床試験でwarfarin(ワルファリン)に対する非劣性が示された。ITT解析では,ワルファリンに対する優越性は示せなかったが,リバーロキサバン投与例に限ると優越性が認められるのでダビガトランに匹敵する薬剤と考えられる。出血についてはワルファリンと差がなかったが,頭蓋内出血や出血死はワルファリより少なく安全性についても懸念の少ない薬剤であろう。

ダビガトランのRE-LY試験との大きな相違は,CHADS2スコアが平均3.2とRE-LY試験より高いリスク患者を対象にしていることと,試験デザインでRE-LY試験がワルファリン投与群が非盲検になっていることである。そのためか,ワルファリン投与群のTTR (Time in Therapeutic Range) がRE-LY試験 (64%) よりやや低かった (58%) ため,対照群(ワルファリン群)の成績との比較がむずかしく,ダビガトランとの優劣を論じるためには,2剤の突合試験が必要である。本邦では日本人の薬物動態が欧米と異なるため低用量 (15mg/日) を用いたJ-ROCKET試験が実施された。その成績は来年3月公表の予定である。

デザイン ランダム化,二重盲検,多施設(45ヵ国1,178施設)。
有効性の一次エンドポイントの非劣性比較はprotocol compliant on treatment解析(非劣性のリスク比マージン1.46),優越性比較はon treatment解析後,intention-to-treat(ITT)解析。
対象 14,264例(脳卒中,全身性塞栓症の既往,あるいは脳卒中のリスク因子を2つ以上保有するAF患者)。
年齢73歳(中央値),女性40%,心不全63%,高血圧90%,糖尿病40%,脳卒中/一過性脳虚血発作の既往55%,平均CHADS2スコア* 3.47。
* AFの塞栓症リスク評価法。脳卒中/TIAを2ポイント,うっ血性心不全,高血圧,≧75歳,糖尿病を1ポイントとして加算。0ポイントは低リスク,3-6ポイントは高リスク。
期間 追跡期間(中央値)はrivaroxaban群706日,warfarin群708日。
治療 rivaroxaban群(7,131例):20 mg/日(クレアチニンクリアランス30-49mL/分の症例は15mgを経口投与)。
warfarin群(7,133例):目標INR 2.5(範囲2.0~3.0)として1日1回経口投与。
結果 追跡不能例はrivaroxaban群,warfarin群ともに18例,早期離脱例はそれぞれ1,693例(23.9%),1,589例(22.4%),うち同意撤回は626例,620例。
warfarin群のINR治療域内時間(time in therapeutic range: TTR)は57.8%(中央値)。

[有効性の一次エンドポイント]
protocol compliant on treatment解析:rivaroxaban群1.71患者(件)/100人・年 vs ワルファリン群2.16件/100人・年(ハザード比0.79;95%信頼区間0.66-0.96,非劣性のP<0.001)
on treatment解析(14,143例):1.70/件/100人・年vs 2.15件/100人・年(0.79;0.65-0.95,優越性のP=0.015)
ITT解析(14,171例):2.12件/100人・年vs 2.42件/100人・年(0.88;0.74-1.03,優越性のP=0.117)。

[安全性の一次エンドポイント;on treatment解析]
14.91件/100人・年vs 14.52件/100人・年(1.03;0.96-1.11)。
それぞれの結果は,大出血:3.60件/100人・年vs 3.45件/100人・年(1.04;0.90-1.20);臨床的に重大な非大出血:11.80件/100人・年vs 11.37件/100人・年(1.04;0.96-1.13)。
頭蓋内出血(0.49件/100人・年vs 0.74件/100人・年:0.67;0.47-0.94,P=0.019),致死的出血(0.24件/100人・年 vs 0.48件/100人・年:0.50;0.31-0.79,P=0.003)はrivaroxaban群の方が少なかった。

[全死亡;ITT解析]
4.52件/100人・年 vs 4.91件/100人・年(0.92;0.82-1.03)。

[有害事象]
重篤な有害イベントは37.3% vs 38.2%,投与中止に至った有害イベントは15.7% vs 15.2%,最も多かったのは鼻出血(10.1% vs 8.6%)。
肝機能に両群間差はみられなかった。

presenter: Kenneth W. Mahaffey, MD ( Duke Univ,Durham, NC )
UP
SMART AV 
SmartDelay Determined AV Optimization: A Comparison to Other AV Delay Methods Used in Cardiac Resynchronization Therapy
心臓再同期療法において,房室遅延(AVディレイ)をSmartDelayアルゴリズムにより最適化した場合の左室収縮末期容積の変化は心エコーにより最適化した場合,一定時間(120msec)に固定した場合と変わらず。 →文献情報 (コメント:井上 博)
presenter: Kenneth A Ellenbogen, MD ( Medical Coll of Virginia, Richmond, VA )
UP
Fish Oil for AF 
Efficacy and Safety of Prescription Omega-3-Acid Ethyl Esters (P-OM3) for the Prevention of Recurrent Symptomatic Atrial Fibrillation (AF)
JAMA. 2010. 304; 21:
抗不整脈薬非投与の症候性心房細動患者において,オメガ-3脂肪酸エチルエステル(P-OM3)による二次予防効果は認められず。
背景・目的 魚油は電気生理的作用や抗炎症作用,忍容性の高さなどから幅広いAF患者を対象にした臨床試験で検討されてきているが,有効性はまだ確立していない。また多くの患者はオメガ-3多価不飽和脂肪酸をサプリメントや食品から摂取しているが,それらの抗不整脈効果や安全性は科学的に立証されているわけではない。そこで,AF患者において,純粋な医療用オメガ-3脂肪酸製剤のランダム化試験で臨床の有用性を確認した。

[一次エンドポイント] 症候性AF(心房粗動を含む)の再発初発までの時間。

デザイン ランダム化,プラセボ対照,二重盲検,多施設(96施設)。modified intention-to-treat解析。
対象 663例(発作性AF 542例,持続性AF 121例)。平均年齢61歳,女性44%,薬物治療:β遮断薬67%;スタチン系薬剤45%;ACE阻害薬/ARB 39%,高血圧62%,冠動脈疾患17%,臨床的に重大な二次元ECG異常3%。
期間 治療期間は24週間。
投与開始は2006年12月20日,投与最終日は2010年1月20日。
治療 P-OM3群(332例;発作性AF 266例,持続性AF 66例): 最初の7日間は8g/日,それ以降は4g/日投与。1gカプセルにエイコサペンタエン酸465mg,ドコサヘキサエン酸375mgを含むオメガ-3脂肪酸製剤を使用,プラセボ群(331例;276例,55例)。
結果 試験を終了したのは584例(88%),発作性AF 479例(P-OM3群233例[88%],プラセボ群246例[89%]);持続性AF 105例(60例[91%],45例[82%])。

[一次エンドポイント]
発作性AF ではP-OM3群135/258例(52%)vs プラセボ群129/269例(48%):ハザード比1.15;95%信頼区間0.90-1.46(P=0.263),持続性AFでは1.64;0.92-2.92(P=0.089)。

[有害事象]
試験薬関連はP-OM3群16%,プラセボ群13%,よくみられたのは吐き気と下痢。投与を中止したのはそれぞれ4%,5%。

presenter: Peter R Kowey, MD ( Main Line Health Hospital System, US )
UP
CLOSURE I 
卵円孔開存が認められる脳卒中,一過性脳虚血発作患者において,心房中隔欠損閉鎖デバイスの二次予防効果は至適薬物療法を上回らず。
背景・目的 原因不明の脳卒中には卵円孔開存(PFO)による奇異性塞栓症が原因と考えられているものがある。
卵円孔開存が認められる原因不明の脳卒中,一過性脳虚血発作(TIA)患者において,心房中隔欠損閉鎖デバイスSTARFlex®を使用したPFO閉鎖の二次予防効果を薬物療法と比較した。

[一次エンドポイント] 2年後の脳卒中あるいはTIA,30日後の全死亡,31日-2年後の神経学的死亡。

デザイン ランダム化,オープン,多施設(アメリカ,カナダの87施設),intention-to-treat解析。
対象 909例。60歳以下の原因不明の脳卒中あるいはTIA,6ヵ月以内の経食道心エコー(TEE)による卵円孔開存例(心房中隔瘤の有無は問わず)。除外基準:深部静脈血栓症,凝固障害亢進。

■患者背景:平均年齢(デバイス+薬物療法群46.3歳,薬物療法群45.7歳),男性(52.1%,51.5%),原因不明の脳卒中(73%,71%),シャント(moderate/ substantial;58%,51%),≧10mmの心房中隔瘤(38%,35%)。

期間 追跡期間は2年。
ランダム化期間は2003年6月23日-2008年10月24日。
治療 デバイス+薬物療法群(447例):30日以内に心房中隔欠損閉鎖デバイスSTARFlex®を経皮的(ステント治療)に留置する。aspirin 325mg/日,clopidogrel 75mg/日を6ヵ月投与後,aspirinを18ヵ月投与。
至適薬物療法群(462例):aspirin 325mg/日あるいはwarfarin 目標INR 2.0-3.0,または併用を24ヵ月投与。
結果 手技の成功率は90.0%,重大な血管合併症3.2%。

[一次エンドポイント]
・2年後の脳卒中+TIAの複合エンドポイント:心房中隔欠損閉鎖デバイス群25例(5.9%)vs 薬物療法群30例(7.7%);調整後P=0.30。
うち脳卒中は3.1% vs 3.4%(P=0.77),TIAは3.3% vs 4.6%(P=0.39)。

[その他]
心房細動(5.7% vs 0.7%,P<0.001),大出血(2.6% vs 1.1%),非エンドポイントの死亡(0.5% vs 0.7%),神経系疾患(3.2% vs 5.3%),全重篤な有害事象(16.9% vs 16.6%)。

presenter: Anthony Furlan, MD ( Univ Hosp Case Medical Center, US )
UP

Nov. 14
Late-Breaking Clinical Trials I

RAFT 
Resynchronization-Defibrillation for Ambulatory Heart Failure Trial
QRS幅の延長した軽症-中等症 (NYHA II-III度) の収縮不全患者において,ICDへの心臓再同期療法 (CRT) の併用により全死亡および心不全による入院が有意に抑制さる。
1,798例(平均年齢69歳,女性17%,NYHA II度80%)。平均追跡期間40ヵ月。 →文献情報 (コメント:井上 博)
presenter: Anthony Tang, MD ( Univ of Ottawa Heart Inst, Ottawa, Canada )
UP
ADVANCE 
心移植待機例において, 小型左室補助循環装置HVAD植込みの180日後の成功率(生存,移植実施,心機能回復によるデバイス離脱)は従来のものと同等。
背景・目的 軸流型連続血液ポンプによる左室補助循環装置(LVAD)は,従来の拍動流型ポンプに比べて転帰の改善がみられている。
HeartWare社のVentricular Assist System(HVAD)は小型の遠心型血液ポンプで,送血量は10L/分まで可能で,さらなる転帰の改善が期待されている。
心移植待機中患者でHVADの有効性を検討した。

[一次エンドポイント] 手技成功(180日後の生存,移植,心機能回復によるデバイス離脱)。

デザイン 多施設(30施設),per protocol解析,intention-to-treat(ITT)解析。
対象 19歳以上の体表面積(BSA)>1.2m²,NYHA IV度で全米臓器分配ネットワーク(United Network for Organ Sharing :UNOS)ステイタス1A~1B。

■患者背景:平均年齢(HVAD群53.3歳,対照群52.2歳),女性(28%,24%),BSA(2.06m²,2.07m²)。HVAD群:虚血性41%,EF 17.8%,血圧77mmHg,強心薬静注82%,大動脈内バルーンパンピング(IABP )25%。

期間 追跡期間は360日。
登録期間は2008年8月-2010年2月。
治療 HVAD群(137例),対照群(499例):登録期間中に臓器移植までの橋渡しとしてprimary LVADを装着したもの。
術前の循環補助はIABPのみ可とした。
結果 [一次エンドポイント:per protocol解析]
HVADの従来のLVADに対する非劣性が示された。
HVAD群92.0% vs 対照群90.1%;群間差-1.9%,95%上限信頼限界0.9%(<非劣性のマージン15%)。

[その他]
・180日後の生存率(二次エンドポイント)は93.9% vs 90.2%,360日後は90.6% vs 85.7%(ITT解析)。
・QOL:HVAD群では3ヵ月後のKansas City Cardiomyopathy Questionnaire (KCCQ) が臨床スコア+33,総合スコア+35増加(P<0.001),EuroQOL-5 Dimensions visual analogue scale (EQ-5D VAS ; EuroQolの5項目法と視覚スコア) も+35増加した(P<0.001)。
・3ヵ月後の6分間歩行距離も同群で113メートル延長した(P<0.001)。

[有害事象]
HVAD群の出血,感染症,心室性不整脈などは良好であった。

presenter: Keith D Aaronson, MD, MS ( University of Michigan, US )
UP
EMPHASIS-HF 
Eplerenone in Mild Patients Hospitalization and Survival Study in Heart Failure
標準的治療を受けている軽症収縮不全患者において,選択的アルドステロン拮抗薬エプレレノン(eplerenone)の追加により死亡および心不全による入院リスクが有意に低下 (vs プラセボ )。
2,737例(平均年齢69歳,女性22%,白人83%,虚血性心疾患69%,罹病期間4.7年)。追跡期間21ヵ月。 →文献情報 (コメント:堀 正二)
presenter: Anthony Tang, MD ( Univ of Ottawa Heart Inst, Ottawa, Canada )
UP
ASCEND-HF 
Acute Study of Clinical Effectiveness of Nesiritide in Decompensated Heart Failure
急性非代償性心不全患者において,標準治療へのヒトB型ナトリウム利尿ペプチドであるネシリチド(nesiritide)の追加は30日後の心不全による再入院,死亡を抑制せず(vs プラセボ)。
背景・目的 急性非代償性心不全(ADHF)の治療は1970年代から変わらず,利尿薬を中心として血管拡張薬や強心薬などが用いられてきたが,2001年にヒトB型ナトリウム利尿ペプチド(hBNP)ネシリチド(nesiritide)が短期の肺動脈楔入圧低下と呼吸困難の改善効果から,米国で承認された。しかし,2005年のメタアナリシスでnesiritideの死亡および腎障害リスクが指摘されたため,今回,有効性と安全性を確認する試験を実施した

[一次エンドポイント] 次の2つ:30日後の心不全による再入院+全死亡の複合エンドポイント;7ポイントLikertスケールを用いた自己評価による6時間後および24時間後の呼吸困難。

デザイン ランダム化,プラセボ対照,二重盲検,多施設(30ヵ国398施設),modified intention-to-treat解析。
対象 7,141例。ADHFによる入院後<24時間で,安静時または最小限の運動時に呼吸困難のある患者;次の症状のうち1つを有するもの(呼吸数≧20回/分;ラ音>1/3 bases),次の客観的尺度のうち1つを有するもの(胸部X線写真での肺浮腫;BNP≧400pg/mLあるいはNT-proBNP≧1000pg/mL;12ヵ月以内のEF<40%;肺毛細血管楔入圧>20mmHg)。
年齢67歳*,女性34%,心拍数82拍/分*,虚血性心疾患60%,EF≦30%** 中央値
ループ系利尿薬95%,強心薬4%,血管拡張薬15%。
期間 追跡期間は30日。
治療 nesiritide群(3,496例):2μg/kgボーラスローディング後,もしくはローディングドーズなしで0.01μg/kg/分最大7日間持続点滴静注。
プラセボ群(3,511例)。
いずれも利尿薬を含む標準治療に追加。標準治療の実施期間は医師の判断に任せた。
結果 [一次エンドポイント]
・30日後の心不全による再入院および全死亡に両群間に有意差なし:nesiritide群9.4% vs 10.1%(ハザード比0.93;95%信頼区間0.8-1.08)。
全死亡:3.6% vs 4.0%,心不全による再入院:6.0% vs 6.1%。
・呼吸困難が「中程度に改善」~「著明に改善」と回答した患者の割合はnesiritide群が有意に多かった:6時間後44.5% vs 42.1%(P=0.03);24時間後68.2% vs 66.1%(P=0.007)。

[安全性]
腎機能:30日後の推算糸球体濾過量>25%の低下は31.4% vs 29.5%(P=0.11)。
低血圧(10日後あるいは退院時):26.6% vs 15.3%(リスク差:11.3; 9.4-13.1,P<0.001);無症候性(21.4% vs 12.4%:9.0;7.2-10.7,P<0.001)。

presenter: Adrian F Hernandez, MD ( Duke Clinical Res Inst, US )
UP

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